2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Historical Study on the Relations between Travel Writings and Sensibility in the Eighteenth-Century British Public Sphere
Project/Area Number |
18K00432
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
吉田 直希 成城大学, 文芸学部, 教授 (90261396)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トラベル・ライティング / 感受性 / 公共圏 / 名誉革命 / 消費文化 / 財政=軍事国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、18世紀イギリス公共圏をさまざまな手段、経路で旅した近代人が、異質な他者との接触によって、いかなる感情的転回を行い、自らの主体化を模索してきのか、その歴史的過程を明らかにすることを目的としている。2018年度の研究では、、ロレンス・スターンの『センチメンタル・ジャーニー』を出発点とし、スターンが世紀前半のトラベルライティングテクスをいかに〈アダプト〉しているかという問題に対して、旅行者の身体/精神の相互関係を文学史に沿って検討した。また、感受性文学に表される熱狂の問題点をメソディズム批判との関わりにおいて考察した。さらに、宗教的議論を人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティの問題へと広げる可能性を提示した。2019年度の研究では、国内外における旅行者の経済的問題を、18世紀前半の名誉革命体制の確立と結びつけ、長い18世紀におけるイギリスの財政=軍事国家論の詳細な検討が必要であることを提示した。三十年戦争から七年戦争に至る英仏の政治・経済・軍事的対立をまとめ、ジャコバイトがメソディズムの熱狂とその脅威という点で重なり合うことをテクスト分析によって確認した。2020年度の研究では、ジョン・ブリュアの消費文化論を軸に、社交空間と消費空間の重なり合いに関する研究と20世紀の歴史化から着想を得たグローバル市民社会の可能性に関する研究に取り組んだ。2021年度では、ジョン・ブリュアの消費文化論を軸に、社交空間と消費空間の重なり合いに関する研究と20世紀の歴史化から着想を得たグローバル市民社会の可能性に関する研究から得られた理論的な枠組みをトラベル・ライティング研究の新たな視点として取り組んだ。2022年度は、研究総括として1760年代のトラベル・ライティングの影響の下に生まれたゴシック小説の異世界表象との関係を探りつつ、シンポジウムでの成果発表の準備を完成させた。
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Research Products
(1 results)