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2019 Fiscal Year Research-status Report

Rural Englishness and the English Novel

Research Project

Project/Area Number 18K00434
Research InstitutionHosei University

Principal Investigator

丹治 愛  法政大学, 文学部, 教授 (90133686)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsナショナル・アイデンティティ / イングリッシュネス / 『嵐が丘』 / 『日の名残り』 / エミリー・ブロンテ / カズオ・イシグロ
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、田園にこそイギリスのナショナル・アイデンティティ(イングリッシュネス)の本質があるという田園主義的アイデンティティの構築と脱構築の歴史をたどることを主題としているが、今年度は、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』を活字化(日本英文学会北海道支部長賞受賞)するとともに、「カズオ・イシグロ『日の名残り』――ヘリテージ文化の影のもとで」を脱稿し、制限枚数の関係でその前半部分のみを中央大学人文科学研究所『人文研紀要』に投稿したところである。以下はその概要である。
『日の名残り』(1989)には、貴族の政治的・経済的没落、田園風景とカントリー・ハウスのヘリテージ化、大英帝国の衰退とアメリカ資本の浸透、社会主義的な福祉国家の成立などの主題が内在している。重要なのは、1950年代前後の歴史的コンテクストに関連するものとして提示されているそれらの主題が、同時に、マーグレット・サッチャーが政権を握っていた1980年代の歴史的コンテクストとも深く関連しているということである。そういうものとして『日の名残り』を、ヘリテージ戦略によるナショナル・アイデンティティの強化/再構築というサッチャー政権の帝国主義的国家観と反動的歴史観を批判的に主題化している作品として解釈した。
現在、取り組んでいるのは、ヘリテージ映画の典型例を称される『日の名残り』の映画(ジェイムズ・アイヴォリー監督、1993)を、原作との比較のなかで解釈すること、およびジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』論である。前者についてはすでに第一稿は書き終えているが、うまく行っていない。後者については、主題はすでに決定しているが(イングランドの田舎における国教会コミュニティをエリオットがいかに評価しているか)、まだ原稿を書きはじめるまでにはいたっていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

わたしが出版を予定している田園主義的イングリッシュネスの文学史で、いまだ書き上げていなかったのは、E・ブロンテ『嵐が丘』(1847)、G・エリオット 『アダム・ビード』(1859)あるいは『サイラス・マーナー』(1861)、D・H・ロレンス『チャタレー夫人の恋人』(1928)あるいは「英国、わが英国」 (1922)、イヴリン・ウォー『ブライズヘッドふたたび』(1945)、カズオ・イシグロ『日の名残り』、イアン・マキューアン『贖罪』だったが、そのうち『嵐が 丘』については活字化することができた。また、『日の名残り』論についても原稿を完成させることができた。

Strategy for Future Research Activity

わたしが出版を予定している田園主義的イングリッシュネスの文学史で、いまだ書き上げていないのは、G・エリオット『サイラス・マーナー』(1861)、D・H・ロレンス『チャタレー夫人の恋人』(1928)あるいは「英国、わが英国」 (1922)、イヴリン・ウォー『ブライズヘッドふたたび』(1945)、イアン・マキューアン『贖罪』であるが、来年度は『サイラス・マーナー』論を完成させる。ロレンスとウォーとマキューアンについては他の作品を論じるときに言及する程度で済ませることにし、単独の章として論じることはしない予定。最終年度ではかならず出版にまでもっていく予定である。

Causes of Carryover

これまで健康に不安があったので、この研究のために必要な資料収集および書籍出版のために必要な写真撮影のための海外出張ができなくなっていたが、2020年度の8月から9月にかけて出張を計画し、2020年1月にチケットを発注したところだった。ただ、新型コロナの流行にともない、2020年度の海外出張はむずかしくなってきたと感じている。その場合は、2021年度(最終年度)に海外出張する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 『嵐が丘』と田園主義的イングリッシュネス 崇高な風景とヨーマンの記憶2020

    • Author(s)
      丹治 愛
    • Journal Title

      『英文学研究 支部統合号』(日本英文学会)

      Volume: 第10号 Pages: 7-16

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Book] 二〇世紀「英国」小説の展開2020

    • Author(s)
      高橋和久、丹治愛(共編著)
    • Total Pages
      515
    • Publisher
      松柏社
    • ISBN
      4775402692

URL: 

Published: 2021-01-27  

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