2019 Fiscal Year Research-status Report
The Tradition of "Female Gothic" in English Novels
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18K00436
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 晶子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70267459)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゴシック小説 / 女性のゴシック / アン・ラドクリフ / シャーロット・ブロンテ / エリザベス・ギャスケル / 感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴシック文学は、18世紀後半に英国で誕生した、恐怖小説ですが、現在では初期ゴシック小説のみでなく、19世紀ヴィクトリア朝の文学や20世紀の映画やドラマを中心にしたアダプテーション研究においても、ゴシック的要素の重要性が論じられています。また、フェミニズム批評が発展する中で、1970年代から女性独自のゴシック小説(Female Gothic)が注目されました。近年、英語圏におけるこの分野の研究の深化・発展が目覚ましく、多くの批評書が出版されていますが、日本の英文学研究においてはほとんど注目されていない現状を踏まえ、研究テーマを設定しました。 昨年度から今年度にかけては、〈女性のゴシック〉小説の原点とされるアン・ラドクリフ(1764-1823)について研究しました。当時は非常に人気があり、その後の多くの作家だけでなく、ロマン派の詩人たちにも影響を与えているとされる作家ですが、伝記的事実は不明な点が多く、作品に関しても、国内の資料はもとより、電子化された資料も少ないため、2019年夏には英国の大英図書館やエジンバラ大学図書館などで資料収集をしました。その成果をもとに、ラドクリフの最も重要な作品『ユドルフォ城の謎』について論文を執筆し、恐怖小説という枠組みを使いながら、男性のゴシック小説とは異なり、女性が犠牲者とならずに、成長して幸福をつかむ主体になること、その過程において当時のキーワードだった〈感受性〉をコントロールすることの重要性について論じました。 また、ゴシック的要素が強い作家とされるシャーロット・ブロンテの影響力を研究した論文が、ブロンテ文学の受容に関する書物『めぐりあうテクストたち―ブロンテ文学のに収録され、出版されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本務校の研究科主任の業務と、日本ギャスケル協会会長職が予想以上に忙しかったことで、十分な研究の時間がとれなかった。 また、アン・ラドクリフの資料が少なかったため、研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本ギャスケル協会会長職を2020年3月末で終えたこと、また研究科主任業務は2020年9月までのため、今後は、これまでよりは研究時間を確保できる見通しである。
ただ、研究期間が少なくなっているのもかかわらず、今年の4月からの新たな学習システムによるオンライン授業に対応することで非常に忙しく、毎週、膨大な量の課題添削に追われてしまっている。研究科主任業務終了後にタイムマネジメントを工夫したい。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通り予算を執行しており、残額については次年度の消耗品の支出に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)