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2021 Fiscal Year Research-status Report

The Black Celts: Analysis of the racial discourse on the Celts in the 19th-century Celtic Fringe

Research Project

Project/Area Number 18K00447
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

森野 聡子  静岡大学, 情報学部, 名誉教授 (90213040)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 香戸 美智子  京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60748713)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords三時代区分 / ケルト人種 / ジョン・サーナム / トマス・ハクスリー / イベリア人
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者は、ブリテン諸島のケルト諸語地域住民を生物学的に黒人と結びつける学説の形成について文献調査を行った。考古学における石器時代・青銅器時代・鉄器時代の三時代区分法の導入は、金属器の使い手であるケルト人以前のヨーロッパ原住民として、非インド=ヨーロッパ語族の石器時代人を想定することにつながった。それを受け、ブリテン諸島には黒い肌のイベリア系住民が先住、その人種的痕跡がアイルランド西部やウェールズに残ること、大陸から渡来したアーリア人である「白い」ケルト人は彼ら先住民と混血したとする見解がイングランドの歴史学・人類学で支配的になったことが、ジョン・サーナム(John Thurnam, 1810-73)やトマス・ヘンリー・ハクスリー(Thomas Henry Huxley, 1825-95)らの著作から明らかになった。連合王国は多様な人種の集合体として繁栄してきたとする学説は、人種的・民族的に異なることを根拠に自治を望むケルト諸語地域を統括する上で有効だったことも当時の新聞論説等から確認できた。
以上のようなブリテン諸島の人種的起源についての学説に対し、ジョン・フリース(John Rhys, 1840-1915)らウェールズの知識人は、ブリテン島最古の住民というウェールズ人の民族意識を補強する言説として、ウェールズ人=「非アーリア人」の原住民との混血説を活用していたことも判明した。
研究分担者はモーガン・ワトキン(I. Morgan Watkin) の血清学に基づくブリテン住民の起源論についてウェールズでの現地調査を行う予定だったが、新型コロナウィルスの影響により本務校が海外渡航を禁止していたことから調査を行うことができず、国内で入手可能な文献による予備調査を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

新型コロナウィルスのパンデミックによって海外調査が行えなかったことから、ヴィクトリア朝のケルト諸語地域を始めとする住民の人種論に関する研究は、国内でオンライン等でアクセス可能な文献以外については調査することができなかった。
ワトキンについては、伝記的事実を含め不詳な部分が多く、ウェールズでの調査の成果が期待されるところだったが、上述のように実現できなかった。進捗状況としては大変遅れている。

Strategy for Future Research Activity

2022年度、研究代表者は(1)オックスフォード・ウェルシュ運動に見られる人種論とナショナリズムの関係 (2)ブリテン科学振興協会(the British Association for the Advancement of Science)に設けられた人体計測学委員会(the Anthropological Committee)によるヴィクトリア朝国民の形質的特徴の調査、を対象に、連合王国の関係機関での資料調査およびオンラインで入手可能な文献調査を実施する予定である。これらを通じて、本研究の中心課題である。ブリテン諸島のケルト諸語地域の住民の人種的起源についての19世紀の言説の分析、そして、それがウェールズの文化的ナショナリズムに与えた影響について、さらに考察を進めることを目指す。
研究分担者については、現在、本務校において海外出張がまだに禁止されているため、今後の状況を見ながらできうる限りの機会を希望し、これまでの研究を継続して準備を進める予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの感染拡大により、当初計画していた海外調査が実施できなかったため、2021年度には海外渡航費分の支出が生じなかった。それを受け「科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請」を行い、認可されたことから、次年度使用額が生じている。次年度使用額については、海外調査を行うための費用、国内学会参加旅費、および文献購入の費用とすることを計画している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 19世紀末のウェールズにおけるパン・ケルティシズムの展開―1899年のカーディフ・アイステズヴォッドを中心に―2021

    • Author(s)
      森野聡子
    • Journal Title

      ケルティック・フォーラム

      Volume: 24 Pages: 17-27

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2022-12-28  

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