2019 Fiscal Year Research-status Report
新聞・雑誌を通して1800年前後のドイツ文学の公共圏への関与を明らかにする試み
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18K00450
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
亀井 一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00242793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1800年前後のドイツ文化 / メディア論 / 一般ドイツ新聞 / カント派 / 汎神論論争 / クリスチアン・ゴットフリート・シュッツ / フリードリヒ・ハインリヒ・ヤコービ / 知識論 |
Outline of Annual Research Achievements |
『一般文学新聞』(Allgemeine Literatur-Zeitung) の調査に取りかかった。研究期間2年度は、創刊当初 (1785-1790) の『一般文学新聞』の特色を、先年度調べた『一般ドイツ文庫』(Allgemeine Deutsche Bibliothek) と比較しながら、明らかにすることを目指した。編者の一人である Chr. G. シュッツ (Christian Gottfried Schuetz) はカント派で、『一般文学新聞』は、カント、カント哲学と強く結びついていた。この点を具体的に明らかにするために、1785年に刊行された、ヤコービ『スピノザの学説に関する書簡』、メンデルスゾーン『朝の時間』、『レッシングの友人たちに』とその書評を中心に調査した。 1785年から1790年という区切りは、『一般文学新聞』の事業の一環として発行された『一般文献一覧』 (Allgemeines Repertorium der Literatur) 第一巻が、この期間の書誌になっているためである。書評紙は、たんに知識の集積という意味で百科事典のような役割が期待されていたことは研究計画の段階で判っていたが、調査を進める中で、知識の分類、体系化という問題にも関わっていたことが明らかになってきた。『一般文献一覧』を編集したエルシュ (Johann Samuel Ersch)、また、「知識論」(Wissenschaftskunde) という概念を作ったとされるエッシェンブルク (Johann Joachim Eschenburg) についても調査を開始した。 第1年度の研究成果を「ラファーター=メンデルスゾーン論争について ― ドイツ啓蒙主義時代の公衆を視野に入れての試論 ―」として論文にまとめた。また、ドイツの図書館で、書評紙の現物を確認するとともに、関連の最新資料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料の量が予想以上で、論文発表が滞っている。研究期間後半に挽回したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では、研究期間第3年度に、ノヴァーリスの「百科全書構想」を中心に、1800年前後の知識と文学の関係を考察することになっていた。しかし、第2年度に取り組んだ『一般文学新聞』調査はまだ完結していない。そこで、ノヴァーリスの「百科全書構想」を視野に入れつつ、ひきつづき『一般文学新聞』とイエナロマン派の雑誌『アテネウム』(Atheneum) の比較、また、『一般文献一覧』の調査に取り組む。 A・Wシュレーゲルが『一般文学新聞』を批判し、編集を退いたのは1799年であるが、その前年にはすでに『アテネウム』を出していた。この時期、ノヴァーリスは『アテネウム』に寄稿するかたわら、『一般草稿』(Das Allgemeine Brouillon, 1798-99) という形で「百科全書構想」にとりかかっている。「百科全書構想」とは、分断された知の諸分野を「結合術」によって統合する試みである。書評の再編集を通して知の体系化を実現しようとしたエルシュの『一般文献一覧』は、1793年から1807年まで出ている。また、1801年から、やはり『一般文学新聞』本紙を補う企画として『文献再読』(Revision der Literatur) が出ているが、第一巻には、「知識論」があてられている。そして、そこでも、本紙のカント主義に従うかのように、ズルツァー『あらゆる学の簡略な概念』第二版(1759) と対比しつつ、カントの批判が紹介されている。ノヴァーリスの「百科全書構想」の特質を探ることを通して、『一般文学新聞』の書評とイエナロマン派の批評の差異を考えたい。 コロナウィルス感染拡大によって、ドイツへの渡航、資料収集が困難になっているが、本研究は、ネット上のアーカイブの利用を中心に構想されているので、それほどの影響はない。
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Causes of Carryover |
今回のドイツでの資料調査で、マールバハ図書館所蔵のコッタ文庫にジャン・パウル関係者の草稿資料が残されていることが判った。研究期間後半のテーマに関わる資料でもあり、covid-19感染の危険が低くなった時点で、改めて調査したい。
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Research Products
(2 results)