2018 Fiscal Year Research-status Report
「オリジナル」とはどういうことか?―近現代ドイツ語圏文学における「複製」の問題圏
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18K00453
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
由比 俊行 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (90737090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 哲哉 近畿大学, 経営学部, 准教授 (20567797)
藤原 美沙 京都女子大学, 文学部, 講師 (20760044)
宇和川 雄 関西学院大学, 文学部, 准教授 (30779385)
福岡 麻子 神戸大学, 大学教育推進機構, 准教授 (40566999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オリジナル / 複製 / 分身 / 亡霊 / ポスト複製論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近現代ドイツ語圏文学の作家たちのテクストにあらわれる「複製」や「分身」、「亡霊」等の主題群の分析をつうじて、唯一真正な「オリジナル」という近代的価値観にたいして、作家たちがいかなる態度をとったのかを明らかにしようとするものである。平成30年度は、研究実施計画のとおり、研究代表者および各研究分担者がそれぞれに資料収集と文献調査を行い、今後の研究活動の基盤となる知見の蓄積につとめた。 具体的には、由比(研究代表者)が、クライスト文学における「分身」のテーマ、さらに「オリジナル」と「パロディ」の問題系についての考察を進め、藤原(研究分担者)はアイヒェンドルフ文学における「双生児」の形象を「分身」の問題圏に接続する方途を探った。19世紀末の心霊主義の言説を扱う熊谷(研究分担者)は、心霊主義者たちの言説における「真正性」の位置づけと写真という複製メディアとの関連性についての調査を進めた。宇和川(研究分担者)は、ソンタグやグロイスらの複製論を手がかりに、新たな視点からベンヤミンの複製論をとらえなおす可能性を模索した。福岡(研究分担者)は、オーストリアの作家C.ゼッツの作品を手がかりに、「オリジナル‐複製」の問題圏と「著者性」の問題圏との接点を探った。 2019年3月に実施した研究会合では、上記個別研究の中間報告に加えて、「オリジナル」および「複製」の概念史的位置づけについても議論を交わし、メンバー間での問題意識の共有と研究テーマについての理解の深化を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり、各メンバーの個別研究はおおむね順調に進展している。2~3回を予定していた研究会合は1回しか開催できなかったが、研究会合での議論、メール等によるメンバー間の相互連絡をつうじて、研究テーマについて一定の問題意識を共有することができている。海外での資料収集にかんしては、予定していたすべての海外調査を実施することはできなかったものの、今年度の研究成果を踏まえることによって、次年度以降さらに充実した海外調査を実施することが可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、初年度の個別研究で得られた知見にもとづき、各メンバーが所属学会での研究発表を行う。また、国内外における資料収集および文献調査を継続するとともに、3回の予定で研究会合を開催し、最終年度に開催予定のシンポジウムに向けて議論を深める。
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Causes of Carryover |
当初はドイツ語圏各都市における資料収集を予定していたが、所属研究機関の業務や学会活動等により、当該年度のドイツ語圏への渡航、まとまった日数の滞在が困難な場合もあり、請求した旅費・物品費を十分に活用することができなかった。次年度は、当該助成金と2019年度分として請求した助成金を有効に活用し、ドイツ語圏での資料収集および国内外の研究発表会での研究成果発表を充実させる計画である。
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Research Products
(6 results)