2018 Fiscal Year Research-status Report
グランゴール作演出パリ入市式における16世紀フランス王権とパリ市民の研究
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18K00454
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平手 友彦 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (10314709)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パリ / 入市式 / グランゴール / 古地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピエール・グランゴールが書いて演出した二人の王妃のパリ入市式(1514年のルイ12世王妃マリー・ダングルテールと1517年のフランソワ1世王妃クロード・ド・フランスの入市式)に関するテクスト等を、パリ国立図書館、マザリーヌ図書館、国立古文書館、パリ市歴史図書館等で収集し、この二つの入市式の行程を当時の古地図から検証した。 パリ古地図については、「バーゼルの地図」を始めとして、「ミュンスターの地図」、「サン=ヴィクトールの地図」、「タピスリの地図」、「三人の人物のいるブロンの地図」などの成立を調査し、これら一連のパリ古地図はことごとく1520-1530年代に制作された一枚の地図から生まれたことを確認した。この中で最も古く、オリジナルに近い地図とされる「グランド・グアッシュ」(1535年頃 原本は1871年に消失)についてパリ市歴史図書館で資料収集と分析を行った。 パリ古地図の調査では、グランゴールが著者と思われる版本『キリスト教の街の嘆き』にパリの姿をリアルに描いた木版画があることも判明し、この版本の調査も行った。 また、国際学会「マルグリット・ド・ナヴァールのネットワーク」Le reseau de Marguerite de Navarre(トゥール大学付属ルネサンス高等研究 2018年10月5日~6日)及び「ルネサンスにおけるフランス語文学写本」Le manuscrit litteraire francais a la Renaissance(パリ第4ソルボンヌ大学 2019年3月14日~15日)に参加して情報収集と意見交換を行い、更にパリ歴史協会が主催する講演と巡検「フィリップ・オーギュストの城壁」(2019年2月22日)と「フランソワ・ヴィヨンと中世のパリ」(2019年2月26日)に参加して中世末のパリの遺構等を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二人の王妃のパリ入市に関するテクストを収集し、入市式のルートを当時の古地図等から検証するこができた。
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Strategy for Future Research Activity |
特定した二つの入市式のルートの要所で行われたグランゴールの演出による寸劇を現存するテクストから分析し、これら入市式を目撃したと思われる当時のパリの住民の記述(日記など)から入市式の実際を再構成する。
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Causes of Carryover |
備品となる書籍の年度内購入が間に合わなかったために次年度の執行となる。
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