2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of French Kingship and the Citizens of Paris in the 16th Century at Ceremony to enter Paris directed by Grangore
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18K00454
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平手 友彦 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (10314709)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ピエール・グランゴール / パリ / 入市式 |
Outline of Annual Research Achievements |
パリ国立図書館などへの3回の調査・資料収集と2回の国際学会での意見交換、『パリ市当局記録』と『フランス儀典』など当時の資料から、ピエール・グランゴールが関与したと考えられる三つのパリ入市式 (1504年ルイ十二世妃アンヌ・ド・ブルターニュ、1514 年ルイ十二世妃マリー・ダングルテール、1517年フランソワ一世妃クロード) で行われたサン・ドニ通りの7地点(サン=ドニ門、ポンソーの泉、トリニテ、絵師たちの門、聖イノサン、シャトレ、王宮前)の活人画舞台を比較検討した。1514年の王妃マリー・ダングルテールでは、グランゴールは自らが主催したと思われる演劇集団「阿呆の母」のような明確な表象ではないが、政治状況を利用して王権へ接近したことを明らかにし、この研究成果を論文「ピエール・グランゴールによる1514年パリ入市式」として発表した。5点のパリ古地図の成立を調査し、パリ歴史協会主催の講演と巡検に参加して中世末パリの遺構を調査し、これらで得た知見をもとに、1517年入市式について、パリのサン・ドニ通りで入市式がどのように展開されたかを分析し、その研究成果を「パリ古地図のサン・ドニ通り-1517年パリ入市式とパリ案内の書『古代の華』-」として発表した。15世紀末までの八つのフランス王・王妃のパリ入市式との比較検討で、グランゴールが少なくとも関与したと考えられる1514 年マリー・ダングルテール王妃と1517年クロード妃の入市式の舞台には明らかな関連が見られ、入市式はひとりの製作者によって成立したことが示唆できた。これまでは、ピエール・グランゴールが入市式に関与した舞台はシャトレでの活人画のみとされてきたが、必ずしもそうではなくグランゴールが入市式全体をコーディネートした可能性が高いことを明らかにすることができた。この研究成果は「パリ入市式とピエール・グランゴール」として発表した。
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