2021 Fiscal Year Annual Research Report
The idea of "Heimat" in Austrian literature of the 20th century and the development of national identity
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18K00459
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉山 有紀子 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 講師 (70795450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日名 淳裕 成城大学, 法学部, 准教授 (40757283)
前田 佳一 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (70734911)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オーストリア文学 / 戦後オーストリア / 国民意識 / 故郷 / 郷土文学 / ユダヤ人 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度において研究代表者はシュテファン・ツヴァイクの自伝における故郷オーストリアの表象と、彼の戦後オーストリアでの受容が抱える問題点に関する研究を行った。研究分担者(1)はゲオルク・トラークルとヨーゼフ・ヴァインヘーバーの戦後の受容についての研究を、研究分担者(2)はインゲボルク・バッハマン及びゲアハルト・フリッチュの小説におけるオーストリア表象に関する研究を行った。
研究期間全体においてはこれに加え、研究代表者はオーストリア郷土文学の代表的作家であるカール・ハインリヒ・ヴァッガールの戦中及び戦後における「故郷」概念及びそれに関連するザルツブルク待降節音楽祭に関する研究を行った。研究代表者(1)はトラークル作品の戦後における出版及び受容に際しての「故郷」の問題について、研究代表者(2)はマックス・メル並びにイルゼ・アイヒンガーとオーストリア文学の特性に関してそれぞれ研究を実施した。以上により本研究の中心的課題である、20世紀オーストリアの文学における「故郷」理念と国民意識の問題について、各自の注目した作家の文学作品とその受容の両面から多角的に分析、解明することができた。
研究代表者及び分担者3名はこの4年間、共通する分野の研究者らとも協力してオンラインで定期的な読書会及び勉強会を実施した。上記研究に関わる作品に加え、関連作家としてトーマス・ベルンハルト、フリードリヒ・トアベルク、ハイミート・フォン・ドーデラーらの作品の輪読と解釈、文献情報の共有、及び研究発表に向けての準備と意見交換を進めた。その成果を2020年10月から2022年3月にかけてオンラインで4回にわたり開催された「戦後オーストリア文学研究会コロキウム」において、研究代表者及び分担者2名がそれぞれ複数回発表し、それを基にした論文を発表した。
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