2020 Fiscal Year Research-status Report
亡命ポーランドと亡命ロシアにおける「場所」に関する比較文化的研究
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18K00460
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小椋 彩 東洋大学, 文学部, 助教 (10438997)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レーミゾフ / チャプスキ / 亡命ロシア / 亡命ポーランド / 戦間期パリ / 米川正夫 / ブブノワ |
Outline of Annual Research Achievements |
戦間期・戦後パリの亡命ロシアと亡命ポーランドの影響関係と芸術創造のプロセスをめぐって以下の成果をあげた。 4月、亡命ロシアの作家アレクセイ・レーミゾフと亡命ポーランドの評論家・画家のユゼフ・チャプスキとその妹マリア・チャプスカとの間で1930年代に交わされたロシア語の書簡のポーランド語訳・注を、ポーランドの学術誌"Tekstualia"にて公刊した(ピョートル・ミツネル博士、ステファン・ヴィシンスキ枢機卿大学教授との共著)。亡命ポーランド最大の雑誌で、ポーランド現代文学に多大な貢献をなした「クルトゥラ」誌の編集主幹であるチャプスキ、および妹マリアは、ともにパリでレーミゾフと親交を結び、前者はとくに作家を信奉し、ときに生活すら支えた。二人のレーミゾフ宛書簡は亡命ロシアと亡命ポーランドの両研究にとって貴重なものである。 8月、レーミゾフの晩年の交流関係について、ロシア文学博物館アーカイヴ(モスクワ)にて継続的に行っていた調査をもとに、論文「亡命者の交差点:1950年代パリのレーミゾフのアパートで」にまとめ、東大・人文社会研究科スラヴ文学研究室紀要『スラヴィスチカ』に発表した。 2021年1月、上智大学ヨーロッパ研究所共催のオンラインシンポジウムで、2018年の国際スラヴィスト会議(於ベオグラード)での発表をもとに、パリからモスクワに移管されたレーミゾフのアーカイヴ資料に関して報告を行い、また英語論文(The Strangers Known to Emigres in the 1950s: Remizov's "Literary Salon" in Paris)として同研究所叢書に寄稿した。アーカイヴ資料にはパリのレーミゾフ宅を訪問したロシア研究者・米川正夫や画家・成井弘文自筆のノートや日本に亡命していたワルワラ・ブブノワからのレーミゾフ宛書簡も含まれ、これらに注を付して刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーカイヴ調査で得た資料(書簡、ゲストブック)に注釈をつけ、それぞれ日本語・ポーランド語・英語で公刊しえた。これらアーカイヴ調査は2016年以降に、継続的に行ってきたもので、本研究課題にとって大きな成果であると考える。 一方、8月にカナダで開催予定だった国際学会への参加とポーランドでの資料収集・調査・研究者との研究打ち合わせが、感染症の世界的流行のためにすべてキャンセルとなった。また、ニューヨーク図書館で開催予定だった米国ペンクラブ主催の翻訳者シンポジウムがオンラインでの実施に変更になったため、渡航のついでに実施を計画していたアメリカの大学図書館での資料収集・調査も行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
亡命作家のアイデンティティの生成プロセスについて、テクストを用いた実証的分析に集中し、研究課題のまとめとして今年度中に論考として発表する。
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Causes of Carryover |
国際学会等がキャンセルとなり、旅費をほとんど使用しなかった。未使用分は、感染症拡大等、状況をみて、今年度後半の渡航および資料購入等に使用する。
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