2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study of "place" in Russian and Polish emigre culture.
Project/Area Number |
18K00460
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小椋 彩 東洋大学, 文学部, 助教 (10438997)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 亡命文化 / ポーランド文化 / ロシア文化 / 場所 / 移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは「場所」「地域」「移動」にまつわる人間の意識の変容を文化現象から探るもので、研究対象としたのは20世紀ロシア・ポーランドの亡命文学、および、現代ポーランド文化であった。 2020、21年度は感染症拡大で海外渡航が制限されたため現地調査・資料収集がかなわなかったが、ロシア国立博物館、研究対象としている現代ポーランド作家オルガ・トカルチュク、連携する国内外の研究者等とメール等で密に連絡を取り、最新の情報を得るように努めた。継続的に進めてきた、亡命ロシア作家アレクセイ・レーミゾフのパリ時代の活動調査の他、亡命ロシア人としての出自を持ち、第2次世界大戦後ポーランド語作家・評論家に転向したレオン・ゴモリツキ論を発表した。 今年度は9月に、トカルチュクによるノーベル賞受賞記念講演と2013年の来日講演翻訳を併せて『優しい語り手』(久山宏一との共訳)として出版、翻訳に加えて解説執筆を担当した。作家の創作方法が、気候問題・人権問題等、現代の社会問題への作家の関心の反映であることを具体例を交えて解説した。ノーベル文学賞受賞以降、日本の読者間でトカルチュクやポーランド文学についての関心は確実に高まっており、本書の出版はそうした社会的要請に応えたものといえる。 また、亡命ロシア文化研究の成果の一部として『ロシア文学からの旅:交錯する人と言葉』(中村唯史・坂庭淳史との共編著、ミネルヴァ書房)内の「『お陽さまを追って(ポーソロニ)』アレクセイ・レーミゾフ」「亡命文学」「イントロダクション:現代のロシア文学」を発表した(現在印刷中)。
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Research Products
(5 results)