2022 Fiscal Year Annual Research Report
Consideration of avant-garde poetry in contemporary German literature
Project/Area Number |
18K00464
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 浩司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80267442)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドイツ文学 / ドイツ詩 / アヴァンギャルド / オーストリア文学 / イルゼ・アイヒンガー / ゲルト・ヨーンケ / マレーネ・シュトレールヴィッツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナ下の制限が緩和されるなか5月、8月、11月、年末年始と海外出張を果たせ、ウィーン文学館、オーストリア国立図書館、ベルリン・フンボルト大学図書館、自由大学図書館、ベルリン国立図書館にて集中的にドイツアヴァンギャルド詩の資料の収集をして俯瞰的な見方を獲得するとともに、複数の研究成果の発表に取り組むことができた。 5月にはハンブルク大学で開催された国際学会「Poetry and contemporary visual culture」にて、デジタル時代の絵画詩の特徴を論じるために、デジタルアートの騎手ネッツハンマーと協働したファルクナーの詩集『イグナチア』について口頭発表をした。発表原稿に加筆訂正したものが、ドイツで刊行される論集に採択されることが決まっている。 9月にはトリア大学主催のオンライン学会にて、「Erinnerungen an Gulag aus zweiter Hand (セコハンのソ連収容所の記憶)」と題する発表を行い、第二第三世代の小説によるソ連収容所の記憶文学とともに、第一世代、特にオスカー・パスティオールの難解な詩による想起の作業を取り上げた。 ウィーンのアヴァンギャルト詩については、イルゼ・アイヒンガーとシュトレールヴィッツやヨンケとの生産的な交わりについて徹底的に取り組んだ。前者のアイヒンガー詩のフェミニスト的解釈が文体分析を進めるうちに意図を裏切ることを明らかにする一方で、後者については、シェーンベルクやウェーベルンの新音楽の技法の文学へ応用し、散文でありながらプロットやキャラクターに依存しない反復や反転という技法によってジャンルを超越しアヴァンギャルドな詩的言語を達成していることを明らかにした。どちらの取り組みも、オーストリアで2024年に刊行される『オーストリア文学の星座 アイヒンガー』に収録されることが決まっている。
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