2018 Fiscal Year Research-status Report
Research on Women and Exile in German literature from 1933 to1945
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18K00492
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
田丸 理砂 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (40386925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドイツ文学 / 女性文学 / 亡命研究 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題実施1年目の目標としていたのは次の3点である。1.亡命および亡命文学研究一般についての情報/資料収集、2.女性亡命文学研究の動向の調査、3.先行研究で取り上げた作家の亡命時代の作品分析。 このうち1.については申請者自身がさまざまな文献にあたる作業を進めるとともに、2018年8月、2019年3月にドイツ、フランクフルトに渡航した際に、当地の国立図書館亡命アーカイブを訪ね、今後の研究を進めるうえで重要な資料の所在を確認し、2年目以降の研究拠点として資料収集のサポートを得られることとなった。 2.の女性亡命研究の動向については、2018年8月ドイツ亡命研究協会の代表インゲ・ハンゼン=シャーベルク教授、およびベルリン、フンボルト大学のウルリケ・フェダー教授から今後のヒントとなる貴重な助言をもらった。今後も引き続き支援を受ける予定である。また申請者自身もアドリエンヌ・トーマス、イゾルデ・クルツ、マリア・ライトナー、アンナ・ゼーガースなどの女性作家による亡命文学作品を読み進めた。 3.先行研究で取り上げた作家の中で、イルムガルト・コインの亡命時代の作品分析を行い、論文としてまとめ、所属研究機関の紀要に発表した。その他、この間にドイツで刊行予定のガブリエレ・テルギットの論文集にテルギットの亡命時代の作品についての論考を執筆することとなり、そのための参考文献や同時代の男性作家による亡命文学作品を読み進めた。なおこの作業は現在も継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要に記した通り、ほぼ予定通り、順調に進んでいると言える。当初の予定と多少異なる点は、この間、ガブリエレ・テルギットについての論文集への執筆への打診があったため、2018年度後半および2019年度前半は、論考の執筆に時間を割く必要が出たことである。ただし取り上げる作品はテルギットの亡命時代の作品であり、また同作家は先行研究で取り上げた作家の一人であることから、その意味では本研究課題の射程内と捉えることができる(研究実績の概要3.参照のこと)。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度前半はガブリエレ・テルギットの論考執筆が中心となる。そこで扱う作品がテルギットの未刊行作品であり、場合によっては当時の書簡等にあたる可能性があることから、当初から予定していた2019年度夏のドイツ出張ではこれらの文献収集が中心になる。 またこれと並行してマリア・ライトナーあるいはギーナ・カウスの研究準備を進める。現時点では2019年はライトナーを、2020年にカウスを中心に取り組みたいと考えているが、進行状況によっては順番は入れ替わる可能性もある。 なおドイツ語圏では近年女性亡命文学研究が急速に進んでおり、当時の作家の作品集や研究書も次々出版されている。こうした研究成果を追うとともに、実際に研究作業を行う中で、本研究課題に必要な資料の多くが現地でしかアクセスできないことがわかった。それゆえ本研究を著作としてまとめるには資料収集等に当初の予想よりも時間がかかる可能性も推測されるが、現地での研究作業は大学の長期休暇に限られているので、今後の進捗状況によっては、同研究課題を遂行させるため、再度、学術研究助成基金助成金等に応募することも考えている。
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Research Products
(1 results)