2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the relationship between cinema and censorship in France under the occupation of the Nazi
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18K00494
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
永田 道弘 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50513743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フランス映画 / ナチ占領下 / 検閲 / 翻案 / 解放後の映画 / シムノン / バルザック |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度より本研究の実施計画の第2段階(個々の文芸映画の分析をつうじて、映画検閲の影響を考察する)に着手した。具体的にはバルザックを原作とする『ランジェ侯爵夫人』(1941)を対象とし、映画検閲の介入を契機とするシナリオの改変を詳細に分析した。今年度は占領期にもっとも翻案されたシムノンの作品をとりあげ(バルザックを原作とする映画が7本制作されたのに対して、シムノンのそれは9本にのぼる)、映画検閲がおよぼす影響のさらなる解明を試みた。具体的には「シムノン映画」の最初のヒット作品といえる『家の中の見知らぬ者たち』(1942)に焦点をあて、ヴィシーの検閲基準に照らし合わせながら、その映画化のプロセスを分析した。この分析結果をもとに、2020年12月5日に日本フランス語フランス文学会中部支部大会において、「シムノンと映画-『家の中の見知らぬ者たち』の映画化をめぐって」の表題で研究発表を行った。この発表をもとに2021年刊行の『日本フランス語フランス文学会中部支部研究論文集 45巻』に論文を掲載する予定である。 『家の中の見知らぬ者たち』の映画化の分析を通じて、当時のフランス社会では公的な検閲をこえて広く表現規制が働いていた状況がみえてきた。さらなる詳細な実態を把握するために、コンチネンタル社制作のものを含め、占領下で映画化されたすべてのシムノンの作品の分析が求められる。加えて私的検閲を含めたより総体的な占領下の表現規制の状況を明らかにするために、フランスの国立古文書館での再調査が必要であると考える。 なお、2019年12月7日の日本フランス語フランス文学会中部支部大会にて行った研究発表をもとに、『日本フランス語フランス文学会中部支部研究論文集 44巻』に論考「映画『海の沈黙』をめぐって」を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フランスの国立古文書館での再調査が必要であるが、コロナ感染症のパンデミックの影響でフランス本国での調査が実施困難なため、研究期間を一年延長する。
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Strategy for Future Research Activity |
占領期の文芸映画における映画検閲の影響のさらなる分析のために、1940-44年に公開されたシムノンを原作とする映画作品すべての分析を行う。同時に当時のフランス社会における私的検閲の実態を把握するために、フランスの国立古文書館での調査を実施したい。調査予定の資料は以下のものである。les papiers des chefs d’Etat, AG II ; les cartons de la seconde guerre mondiale, AG72; les archives du COIC, F42
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Causes of Carryover |
私的検閲を含めたより総体的な占領下の表現規制の状況を明らかにするために、フランスの国立古文書館での再調査が必要であると考える。ただし、コロナ感染症のパンデミックの影響でフランス本国での調査が実施困難なため、研究期間を一年延長し、次年度、もし可能であるならばフランスの国立古文書館での調査を実現させたい。
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