2019 Fiscal Year Research-status Report
漢文文献読解の基層構造を解明するための敦煌漢文文献の精密記述研究
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18K00501
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小助川 貞次 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (20201486)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 敦煌漢文文献 / 漢文文献読解 / 加点情報 / 書誌目録 / 漢字文化圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の研究を実施した。 1)Pelliot書誌情報ファイル及びStein書誌情報ファイルに、尚書、毛詩の書誌情報を記載し、Stein本・尚書8点(S.799、801、2074、5626、5745、6017、6259、8464)については書誌記述ファイルと加点情報付テキストを作成し、所属機関紀要に「敦煌本漢籍書誌目録(スタイン・書類)」を投稿した(刊行は2020年8月)。 2)漢字文化圏における漢文文献読解の基層構造を具体的に解明するために、2-1)これまでに調査したStein本74点(大英図書館)、Pelliot本146点(フランス国立図書館)の合計220点を対象に、日本の漢籍訓点資料とも比較しながら具体的に論じた「敦煌本漢籍における加点の問題について」を学会誌に、2-2)日本現存の漢籍訓点資料のうち、漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)、髙山寺本論語集解(清原本2点、中原本2点)について精密調査に基づく解題(共著)を、2-3)一次資料に基づかない研究方法と研究成果利用の問題について「訓点の信憑性」を学会誌に、それぞれ発表した。 3) 漢字文化圏における漢文文献読解の基層構造を具体的に解明するために、ベトナムの漢籍加点本にも目を向け、ベトナム社会科学院において開催された国際会議で「ベトナム阮朝時代に論語はどのように学習されたのか」(2019年8月15日、ハノイ)を口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
書誌記述ファイル、加点情報付テキストの両者の作成に遅れが出ているが、最終目標の一つである漢字文化圏における漢文文献読解の基層構造の具体的解明は予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、2018年度・2019年度にやり残した漢籍の加点情報付きテキストの作成を続けるとともに、新たに春秋、孝経、晋書、文選について書誌記述ファイルと加点情報付テキストの作成を行い、書誌記述ファイルの完成を目指す。大英図書館及びフランス国立図書館における書誌記述ファイルの原本校正は欠かせないが、新型コロナウイルス感染の国内外の状況を慎重に見極めながら判断する。最終的に敦煌本漢籍書誌目録としてまとめ、公開する。
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Causes of Carryover |
未使用金が少額であったため執行できなかった。2020年度は残額を含めて執行する予定である。
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