2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00502
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
和田 とも美 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (60313582)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文学 / 朝鮮 / 廉価本小説 / 大衆小説 / 日本 / 近代 |
Outline of Annual Research Achievements |
朝鮮半島で1930年代に朝鮮語で犯罪小説を発表した無名の作家「涙香」について、日本の明治時代に活動した作家黒岩涙香を参照しながら、その目指した方向性を検討した。 確認可能な作品は、富山大学附属図書館所蔵の1点と、コロンビア大学図書館所蔵の1点に限られており、作家の個人的事項について一切不明である。富山大学附属図書館所蔵の1点について国際学術シンポジウム「韓国近代文学研究の展望と争点」(於:早稲田大学、主催:早稲田大学朝鮮文化研究会、開催日:2019年10月26日)において「ハンプリと仇討-20世紀初期日朝廉価本小説に表れた復讐の構造」という題目で発表した。 また、コロンビア大学図書館所蔵の1点の複写資料を科研費によって入手し、その内容について検討し「1930年代の朝鮮半島の無名作家涙香-富山大学所蔵本及びコロンビア大学所蔵本を通じて」という題目で、九州大学韓国研究センター主催研究集会「韓国近代文学史における史料と実証」(2020年2月28日開催予定)で発表しようとしたところ、コロナ禍のため、研究集会の開催が無期限延期となっている。 日本の類似の小説などの翻案のようでもあるが、朝鮮の同時代の社会を背景にしており、朝鮮社会を犯罪という観点から描こうとした意気込みが見て取れる。しかし作品の文学性という観点から見れば、とうてい完成度の高いものとはいえない。その不完全さが、単純な作家の力量問題はなく、近代朝鮮文学の抱える問題点に起因するものであるという仮定のもとに、検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、研究集会などが延期になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
学術雑誌に発表予定の原稿をしあげる。 無期延期になっている研究集会が実施された場合に参加する。 オンラインで参加できるような学会などがあれば参加する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により3月に旅費の使用ができなかったため。 朝鮮文学関連資料の購入・複写物の入手に充当する。
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