2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00507
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
李 郁惠 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (80399071)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 台湾文学 / 日本文学 / 文芸台湾 / 台湾文芸 / 湯浅克衛 / 棗 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、台湾文学における中国語以外の言語による出版状況などについて現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により実施することができなかった。そのかわりに、日本からでもアクセスできる図書館のウェブサイトを通して文献調査に取り組んだ。調査結果として、まず実際中国語以外の言語で書かれ、出版されたものがまだ少ないことが分かった。1991年から創刊された『台文通訊』と1996年から創刊された『台文BONG報』が2012年合併する『台文通訊BONG報』や、台文戦線雑誌社が2005年から刊行した『台文戦線』などのように台湾語による雑誌はあるが、読者が限られており、普及するまでには至っていない。一方、日本語の部分は、1980年代から個人の記念や私家版として刊行されたものがある。その一例として、『台湾万葉集』や『台湾歳時記』などが挙げられるが、これらも日本語教育を受けた戦前世代や台湾在住の日本人が中心となる短歌会や俳句会の同人誌的性格の強いものと言わざるを得ない。 以上のことから、調査の範囲を調整し、中国語以外の言語についての言及がある図書や雑誌も対象として収集した。そのうち、日本語や日本文学に関する部分は、戦後台湾の文壇を賑わせる台湾文芸雑誌社の『台湾文芸』と文学台湾雑誌社の『文芸台湾』の二大雑誌から重点的に整理し、2020年7月に北京師範大学が主催の日中比較文学研究オンライン会議で成果を発表した。また、将来的に台湾のポストコロニアルな状況との比較を行うため、朝鮮半島や南洋など日本の旧植民地地域を背景とした作品及びその中における多言語・多文化性を再読してみた。その成果の一部である湯浅克衛の『棗』論を、2020年12月に韓国日語日文学会の学術大会で同じくオンラインの形を通じて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた現地調査は、新型コロナウイルス感染症の影響により実施することができなかったが、調査範囲及び項目を調整して新たな成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
課題期間が延長された今年度では、海外渡航が再開され次第、現地調査を実施するとともに、新しい課題へと広がる可能性を探ってみる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、現地調査と学会発表を実施することができなかったため。 次年度に延期した現地調査と学会発表等の実施費用に充てる予定。
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