2019 Fiscal Year Research-status Report
近代の少女文芸メディア構築における世界性と地域性の力学をめぐる日露比較研究
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18K00508
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| Research Institution | Hiroshima University |
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Principal Investigator |
溝渕 園子 広島大学, 文学研究科, 教授 (40332861)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 少女文化 / 少女雑誌 / 世界性 / 地域性 / 世界文芸市場 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、今日のポップカルチャーの一翼を担う〈少女文化〉というカテゴリーが形成されるうえで重要な役割を果たした文芸メディアについて、近代の日本とロシアの少女雑誌までさかのぼってその系譜を検証することである。関連データの分析と議論によって、西欧より遅く近代化を遂げた日露双方において、ジェンダー化されたメディアである少女雑誌が、①西欧の少女・女性雑誌から受容したモデルと各地域に根差した文化的アイデンティティという、いわば世界性と地域性の間でいかなる対話や拮抗を展開しながら構築されたのか、②なぜ両国で異なる進展を見せたのか、③隣接地域のメディア環境にどのような影響を及ぼしたのか、以上の3つの問題を解明する土台を築くことを目指している。
以上の研究の趣旨をふまえて、本年度は〈編集〉〈翻訳〉〈比較〉の観点から、メディア・テクストの調査を行い、19世紀から20世紀前半に至る世界文芸市場のダイナミズムの中に、日本とロシアの少女文芸メディアを位置づけることに主眼を置くことを企図した。一部の成果は自著『〈翻訳〉の文学誌』に収録している。
また本年度の目的の達成に向けて、当初の計画では、日露双方の少女雑誌がモデルとした英米、フランス、ドイツの少女雑誌の資料収集を、2月に現地にて行う予定であった。しかしながら、折しも新型コロナウィルス感染拡大の影響により、現地調査の実施を2020年度に延期することとした。ただ、英米の少女雑誌については、“The Girl's Realm Annual”復刻版一式の購入等により、ある程度の調査と分析を進めることができた。また、フランスとドイツの図書館における雑誌の調査に関しても、関連分野の研究者から有益な情報と助言を頂戴した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究の主軸は、日露双方の少女雑誌がモデルとした英米、フランス、ドイツの少女雑誌の資料収集・分析にあった。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、フランス及びドイツでの現地調査の実施を断念したため、雑誌資料の十分な収集には至らなかった。
しかしながら、イギリスの“The Girl's Realm Annual”復刻版一式や先行研究を入手することによって、英米圏については一定の調査と分析をまかなうことができた。また、フランスとドイツの図書館所蔵の雑誌資料についても、関連分野の研究者から情報を得て、インターネット経由で可能な範囲での資料の入手に取り組んでいる。それが進めば、2020年度に実施予定のフランスやドイツでの現地調査と合わせて、研究目標の達成に向けて速度を挽回することが可能である。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度の実施状況をふまえ、今後、資料収集とデータ整理、理論化の効率を上げる必要がある。2020年度は①フランス、ドイツ、中国での現地資料調査、②収集資料のデータ整理、③日露双方の雑誌との実証的な関連づけ、④研究成果の公表、⑤成果の理論化へと進めたい。特に①について、環境が整い次第、計画を実行する。また、②に関しても、研究補助を依頼し、研究の迅速化・効率化を図る。
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| Causes of Carryover |
本年度の研究の主軸は、日露双方の少女雑誌がモデルとした英米、フランス、ドイツの少女雑誌の資料収集・分析にあった。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、2月に予定していたフランス及びドイツでの現地調査の実施、研究成果の口頭発表のための国内出張を2020年度に延期したため、次年度使用額が生じた。出張可能な環境が整い次第、速やかに実施して使用することとする。
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