2021 Fiscal Year Research-status Report
近代の少女文芸メディア構築における世界性と地域性の力学をめぐる日露比較研究
Project/Area Number |
18K00508
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
溝渕 園子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (40332861)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 少女文化 / 文芸メディア / 日露比較 / 世界文芸市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、今日のポップカルチャーの一翼を担う〈少女文化〉というカテゴリーが形成されるうえで重要な役割を果たした文芸メディアについて、近代の日本とロシアの少女雑誌までさかのぼって、その系譜を検証することである。当初の計画では、本年度は、前年度までにロシア、フランス、ドイツ、アメリカにて調査を行い、得られたデータを〈編集〉〈翻訳〉〈比較〉の観点から分析・整理し、各論として考察した成果を総括する予定であった。そして、新たに中国でのメディア・テクストの調査を加え、日本を媒介として、欧米と東アジアとを連結させることにより、19世紀から20世紀前半に至る世界文芸市場のダイナミズムを捉えようとするものであった。 しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大の影響が続く中で、海外での調査の実施を延期せざるを得ず、本研究に不可欠の一次資料の入手がきわめて困難な状況は、2021年度においても変わることはなかった。日本で可能な限り、欧米の少女雑誌の資料を収集したほか、関連分野の研究者からさらなる情報をいただいた。また、中国の研究者から、必要な資料のさらなる情報を得ることができた。こうした内容を部分的に織り込みつつ、日露文化の〈翻訳〉と〈比較〉に関して、論文と口頭発表の形で成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度の研究の主軸は、研究の総括と、欧米と東アジア双方の少女文芸メディアを連結し、研究の成果を総括することにあった。だが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、前年度までに終えているはずのフランス及びドイツ、アメリカでの現地調査実施を断念したため、雑誌資料の収集には至らなかった。研究の基礎となる一次資料の入 手が制限される状況下にあって、欧米の関連論文を収集し、研究の動向や理論を把握することができた。海外での調査が可能になれば、資料を補充し、これまでに整理したデータをもとに考察及び検証を進め、論文として公表する予定である。国内外の研究者と連携し、2022年度の研究の加速化を図りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実施状況をふまえ、資料収集とデータ整理の効率を上げる必要がある。2022年度は①フランス、ドイツ、アメリカ、中国のうち可能な国での資料調査、②収集資料のデータ整理、③日露双方の雑誌との実証的な関連づけ、④研究成果の公表へと進めたい。①については、環境が整い次第、計画を実行する。また、②に関しても、助けとなるテクノロジーの知識を得たり、研究補助を依頼したりするなどの改善策を講じ、研究の迅速化・効率化を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウィルス感染状況の影響により、計画していた海外調査を実施することができず、旅費及び関連経費が未使用となったため。 2022年度は、コロナ禍と世界情勢に鑑みて、現地の研究者の協力を仰ぎつつ、日本国内で可能な資料収集やデータベースの活用等の代替措置によって研究を進め、そのために必要な経費として使用する。
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