2019 Fiscal Year Research-status Report
Etymological lexicon of Kurux and reexamination of Dravidian family tree
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18K00524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 正人 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (90337410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歴史言語学 / ドラヴィダ語族 / クルフ語 / マルト語 / ブラーフイー語 / 語源辞典 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は7月にクルフ語話者とマルト語話者を招請し、一週間かけてクルフ語とクマールバーグ・マルト語の2000語レベルの対照語彙表を作成した。 また、9月にパキスタンからブラーフイー語話者の来訪を受け、ブラーフイー語の500語の基礎語彙を採録し、今後の調査について打ち合わせを行った。 2020年1月にはインド・ジャールカンド州およびチャッティースガル州での現地調査を行った。現地調査の限られた時間内で語彙調査するのは困難であるため、今回はマルト語の村二か所を訪問して録音と前回の録音テキストについての質問を行い、テキストコーパス構築の作業を行った。 成果の公表では、世界の主要語族ごとに言語の文法を一章ごとにまとめた Routledge Language Family Series の Dravidian Languages の第二版に、クルフ語の章を研究協力者の Tetru Oraon と共に執筆し、今年度に刊行された。 未刊行の論文としては、Brill 社の South and Southwest Asian Language Series に掲載するクルフ語の擬音語に関する分担執筆章 Etymological sources of Kurux expressives を提出し、査読が完了し公刊見込みとなった。またアメリカ東洋学会から依頼されたクルフ語語源に関する Martin Pfeiffer の書籍 Kurux Historical Phonology Revisited (2018, PublIQation) の書評論文である Viewing Proto-Dravidian from the Northeast を投稿し、採択の通知を受けた。同論文においてはクルフ語歴史音韻論の問題を論じ、そのことが今後の語源辞典作成の作業において、音韻変化の判断をする上で役に立つものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は基礎的語彙の対照表を作る作業が中心となった。『ドラヴィダ語源辞典』の5000弱という項目数の半分にも満たないが、クルフ語とマルト語の対照語彙表はいまだ作られたことがない。時間を費やしたが、必要な作業であった。ブラーフイー語についてはいまだ500語水準であるが、今後拡充していくための道筋はついたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は新型コロナウィルスの感染拡大による日本での緊急事態宣言やインドとパキスタンでのロックダウンの影響で、現地調査が困難になっている。電話での調査を行うとしても、通信状況が悪く、調査協力者にも金銭的負担がかかるため、調査時間が限られてしまう。郵送による調査は、これまでも試みたが、協力を得ることが難しい。基本的に訪問・面会が不可欠な研究であるため、今年度の実施には相当の困難が予測される。推進方策は立てようもないが、調査が再開できる状況になるまでこれまで蓄積したデータを整理して準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定の調査期間を短縮したために日当・宿泊費に剰余が生じた。
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