2019 Fiscal Year Research-status Report
ヌートカ語アハウザット方言の自然談話データベース構築およびテキスト集の作成
Project/Area Number |
18K00527
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中山 久美子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (40401426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 俊秀 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70334448)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 危機言語 / アメリカ先住民 / 記述言語学 / ヌートカ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、消滅の危機に瀕し研究資料の蓄積も少ないヌートカ語(Nuuchahnulth;ワカシュ語族;カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州)のアハウザット方言を対象として、平成27年度~29年度基盤研究(C)「ヌートカ語アハウザット方言の統合テキストデータベースの構築」の成果であるテキストデータベースを基盤に、さらなる未発表言語資料を処理・分析し、アハウザット方言の言語総合データベースを構築拡充させることを目的とする。 ヌートカ語は、他の北米大陸の先住民と同じく、急速に進む白人社会への同化の流れに置かれ、消滅の危機に瀕する。本データベースでは、研究の成果が言語構造、伝統社会・生活、地域の歴史などに関する研究、および現地コミュニティーでの伝統文化と文化の再活性化に大きく貢献できるよう、データの内容と構造の両面において幅広いニーズを想定した形に作り込んでいる。内容面では、伝説、昔話、歴史的な出来事についての語り、伝統社会・文化・技術・生活様式・しきたりについての解説などを幅広く含む。構造面では、文法分析を加えた自然談話データを、音声データ・語彙集とリンクさせ、従来の文法研究や人類学的研究のみならず、近年急速に重要性を増している自然談話の構造に関する研究や言語再活性化のための教材作成など、幅広い範囲の研究・社会活動に活用できる基礎資料として整える。 今年度は、夏期10日間にわたり(8月5日~15日)カナダのバンクーバー島および言語系統的に関係の深いアメリカ合衆国ワシントン州のマカー族の地を訪れ、現地話者および博物館関係者の協力のもと、分析が進んでいるデータの文化的背景および分析内容の確認をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は夏期10日間にわたり(8月5日~15日)カナダのバンクーバー島および言語系統的に関係の深いアメリカ合衆国ワシントン州のマカー族の地を訪れ、現地話者および博物館関係者の協力のもと、すでに分析が進んでいるデータの文化的背景および分析内容の確認をおこなった。加えて収集・書き起こし済みの談話データの分析をさらにすすめ、データベースの拡充を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、さらにテキスト資料の処理を進め、テキスト・音声・語彙の各データベースの拡充をはかり、最終成果としての完成をめざす。夏期には文法や文化的情報などに関する聞き取り調査のための現地調査を行う予定ではあるが、感染症流行の現状によっては、延期せざるを得ない可能性も否めない。また、こちらも状況次第ではあるが、学会やワークショップなどを通じて、他のフィールド言語学者や言語記述・再活性化活動に従事する人々とその成果を共有し、データベースの研究資源としての質的向上に役立てていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は、最終年度としての出版物を含む成果発表を視野にいれ、現在のコロナ情勢が許す限り、現地調査にて文法や文化情報についての確認作業をすすめる予定である。さらに、学会やワークショップに参加し、他のフィールド言語学者や言語記述・再活性化活動に従事する人々と情報交換を行い、フィードバックを得て、最終成果物の質的向上に努める予定である。
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Research Products
(8 results)