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2020 Fiscal Year Research-status Report

A Cognitive Pragmatic Study on the Dynamism of Generation and Trasformation of Narrative

Research Project

Project/Area Number 18K00530
Research InstitutionUniversity of Yamanashi

Principal Investigator

仲本 康一郎  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80528935)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岡本 雅史  立命館大学, 文学部, 教授 (30424310)
加藤 祥  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, プロジェクト非常勤研究員 (40623004) [Withdrawn]
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords外国人児童生徒教育 / インタビュー調査 / 教師の成長 / ソーシャルメディア / 非流暢性 / 独話志向性
Outline of Annual Research Achievements

まず、研究代表者仲本は、これまでのナラティブ研究の実践的な取り組みとして、日本の学校において外国人児童生徒教育を先進的に行っている教育委員会の指導主事、日本語指導担当員、母語支援員等を対象にしたインタビュー調査を実施し、その結果をもとに教員の成長の語りを質的に考察した。日本の学校では学習者の多様化が進んでおり、外国人児童生徒教育についても専門性を備えた教員の養成・研修が課題となっている。こうした現状を踏まえ、外国人児童生徒教育を担う教員に求められる資質・能力について調査を実施した。具体的な語りとしては、教師としての成長の物語が自らの活動圏の拡張のプロセスとともに社会的に構成されていく様子が観察された。
次に、分担者岡本は、ナラティブを生み出す「場」としてのソーシャルメディアに着目し、いったん新奇表現が創出され流行すると、そうした新奇表現の由来を全く知らない者にとっても有用な表現と変容し、特定のソーシャルメディア内で定着していく理由を考察した。具体的には、新奇表現としての「Vて、どうぞ」表現がTwitterという特定のソーシャルメディア内で定着するなかで、従来は区別されていた「どうぞ」と「どうか」の使用域が当該表現においては統合されるようになったことを明らかにし、その理由をTwitterが持つ独話志向性が「投擲的発話 (木村, 2003)」との共通性を有することに求めた。また、共食場面や喫茶場面においてしばしば生じる身振りの非流暢性を《アイドリング》と名付け、それが会話活動と摂食活動の円滑な協調を達成するうえで大きな役割を果たしていること、さらにその様態が発話の非流暢性を示すフィラーやポーズ、言い淀み等と対応していることを示唆した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

まず、代表者仲本は、これまでに行ってきたナラティブの生成と変容に関する理論を応用し、インタビュー調査によって語りの現場において物語がどう生み出されているかを考察した。今回、主な調査対象としたのは、日本の学校で外国人児童生徒教育を先進的に行っている日本語指導員で、そこでは経験の長さに応じて、教育現場を取り巻く環境をより広い視野でとらえ、周囲のコミュニティとつなげていく活動圏の拡張が観察された。さらに、それぞれの教員は、そうした変化を教師としての自己の成長のプロセスとして意味づけていく様子が観察された。この成果は、令和3年度9月発行予定の『外国人児童生徒等教育を担う教員の養成・研修(仮)』(明石書店)に掲載されることになっている。
一方、分担者岡本は、被災の語り部のインタビュー・データをもとに、語り手が語る事実の当事者である場合と非当事者である場合を峻別し、同一の報告内容がどのように言語的な差異を生じるかを実証的に解明することを予定していたが、今時のコロナ禍によって現地調査が叶わなかったため、上述した2つの課題に変更して研究を実施した。まず、ソーシャルメディアにおける新奇表現の使用域の変容については、指導学生との共同研究として日本語用論学会第23回大会のオンライン口頭発表として報告された。そして、共食・喫茶場面における身振りの非流暢性の研究についても同様に、指導学生らとの共同研究として、社会言語科学会第45回研究大会のオンライン口頭発表として報告された。いずれの研究も、これまで取り組んできたナラティブの認知語用論研究の一環として、語りの「場」やそこで生じる複合的活動がナラティブの言語的・非言語的様態の変容を促すことを示唆している。

Strategy for Future Research Activity

昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大のため、代表者、分担者ともに、大学の授業におけるオンライン対応に追われた。また、研究発表の場も制約されたことで研究の遅れが生じたため、1年間本科研を延長することとした。本年度は、研究を再開し継続的に推進していく予定である。まず、代表者仲本は、昨年度に引き続き、ナラティブの理論と実践の往還を行い、おもに外国人児童生徒教育の現場における教員の成長の語りを中心に、実際の語りのフィールド調査を行う。また、これまで本科研を通して得た成果を、日本認知言語学会学会誌『認知言語学研究』、日本語用論学会学会誌『語用論研究』等に投稿し、研究成果を公表する予定である。
次に、分担者岡本は、引き続きソーシャルメディアにおける新奇表現の使用域の観察をもとに、ナラティブとそれを取り巻く「場」の相互関係の解明に取り組む。また、コロナ禍によって中断していた被災の語り部のインタビュー調査の再開を検討しているが、予断を許さない状況であるため、それと並行するかたちで、新たなナラティブの認知語用論研究のテーマとなる「語用論的包除性 (pragmatic clusivity)」を提唱し、従来は政治学や言語哲学の文脈で語られてきた「犬笛 (dog whistle)」の認知語用論分析に取り組む予定である。いずれの研究課題も日本語用論学会や社会言語科学会の年次大会での報告を予定しているが、特に後者の研究課題については、社会言語科学会学会誌『社会言語科学』に投稿し、その研究成果を広く世に問う予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの感染拡大により研究が遅れたため、昨年度予算の一部が次年度に繰り越されている。この繰越予算については、本年度購入予定の物品費等として使用される予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 3.直喩標識としての「じゃないけど」―談話における直喩とアナロジーの再考に向けて―2020

    • Author(s)
      岡本雅史
    • Journal Title

      日本認知言語学会論文集

      Volume: 20 Pages: 126-137

  • [Presentation] 「食べる」と「飲む」を伴う会話場面の身振り分析―会話と飲食を調節する〈アイドリング〉動作に着目して―2021

    • Author(s)
      尾賀円香・赤井里奈・岡本雅史
    • Organizer
      社会言語科学会第45回研究大会
  • [Presentation] 教師教育の課題と可能性―外国人児童生徒等教育を担う教員の養成と研修に焦点を当てて―2020

    • Author(s)
      金田智子・菅原雅枝・仲本康一郎・鎌田美千子
    • Organizer
      日本語教育学会春季大会パネルセッション
  • [Presentation] 「Vて、どうぞ」―SNSにおける陳述副詞「どうぞ」の拡張的用法―2020

    • Author(s)
      三瀬凪乃・岡本雅史
    • Organizer
      日本語用論学会第23回大会
  • [Book] はじめて学ぶ認知言語学2020

    • Author(s)
      児玉一宏・谷口一美・深田 智(編著)、仲本康一郎(他著)
    • Total Pages
      280
    • Publisher
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4623088706

URL: 

Published: 2021-12-27  

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