2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Dynamic Study of Old Chinese Dialects
Project/Area Number |
18K00532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松江 崇 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90344530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸内 俊介 二松學舍大學, 文学部, 教授 (70713048)
野原 将揮 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80728056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古代中国語 / 程度範疇 / 数量範疇 / 否定詞 / 個体量詞 / 上古音 / びん語 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の松江は、新たな方向性の研究として、古代中国語(春秋戦国から唐宋)の意味範疇の史的変遷の問題に取り組み、不定範疇・程度範疇の史的変遷(「古漢語中語義範疇的生成及其発展的若干問題」中国人民大学招待講演)、さらに時点・時量範疇を問う疑問代詞の史的変遷(「中国語言歴史地理研究論壇2024」口頭発表)について記述し、関連する言語形式の変遷を踏まえつつ、当該範疇の通時変化のメカニズムを明らかにすることを試みた。そして例えば程度範疇の生成については、魏晋南北朝以降になって範疇として生成されたものの、元明期までは数量範疇と密接な関係にあり、独立性が低いことなどを指摘した。その他、本科研実施期間に口頭発表・講演した内容を、修正を加えつつ、国内外の査読誌に発表した。揚雄『方言』を資料とした漢代の東部北部方言の生成過程に関する論文(「浅談漢代東部、北部方言的動態変化」)、三人称代名詞「他」の生成メカニズムに関する論文(「談漢語第三人称代詞”他”的生成機制」印刷中)などがそれである。 戸内は殷代から春秋戦国時代の出土文字資料に見える文法現象と、その移り変わりについて研究進め、多くの成果を得た。同時に出土文字資料の釈読も進めている。まず論文は、単著共著合わせて4本をいずれも中国語で執筆し国内外で刊行した。また北京大学中文系に訪問学者として招聘され、8月11日から9月10日の1か月間滞在し、本科研に関わる成果を3回に分けて講演した。 野原は主に春秋戦国時代の楚や秦の出土文字資料に見える音韻現象について研究を進め、「稲」や「婿」に関する論文を刊行したほか、上古中国語の「多」の声母(音節頭子音)の再構やびん語や苗瑶語に関わる語彙について国際会議等で発表した。また同時に、出土文字資料の訳注も進めており、23年度は安徽大学蔵戦国竹簡の『仲尼曰』の訳注の一部を作成している。
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