2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00533
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千田 俊太郎 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90464213)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 語彙研究 / 言語資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
主にテキストと語彙の電子化を進めた。テキストについては高齡の話者の資料から電子化することとし、音聲資料の書き起こしとグロス付け、及び全體の譯を作った。そのうち傳統的な倫理觀に關するテキスト資料を1件出版した。 語彙については、最初に既存の別の言語の語彙資料なども參照しながらドム語の基礎語彙選定、及び對應付けの方式を確認する作業を行った。ドム語の語彙1300項目程度とトク・ピシンの譯語を對應付けて入力し、意味タグを付した。さらに、意味タグに基づいて既存の多言語對譯リスト(日、英、朝、エスペラント)との假の紐付けを8割程度施した。また、ニマイ語について植物語彙を中心に500項目以上を入力した。これらのニマイ語植物語彙については、生物學的な分類の情報を追加で入力し、意味的・形式的に對應するドム語の語彙を同定した。 ニューギニアの諸言語の人稱代名詞のシステムについて情報を整理し、既存の大語族假説の主張に照らし合せて檢討した。特にトランスニューギニア語族假説についてはシンブー諸語の所屬が云爲され、本研究と密接な關係を持つ。シンブー語族の人稱代名詞についてこれまでの資料を精査した結果、人稱代名詞のシステムは近い過去にドラスティックな變化があったことが示唆された。この地域の言語研究においては人稱代名詞にばかり注目して語族假説を提出することがしばしば起こるが、その手法自體を根本的に見直す必要があることになる。これらに關する成果は二つの講演で發表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
諸々の都合上、本課題の目的での現地調査ができなかった。理由の一つは代表者の日程の都合だが、もう一つは現地の別々の場所で協力予定者が相次いで急逝したことによる。そのため、成果公開のシステムについても、サーバの維持費のみがかかった形である。その間、語彙・テキストの入力作業、及びドム語とニマイ語との語彙の対応については当初の予定より進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現地でのネットワークを生かして新たな調査協力者を探すことが課題となる。調査に一定の期間が確保できれば可能である。今年度現地調査をしなかった分の予算を来年度以降に使えるので大きな問題はない。
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Causes of Carryover |
本課題は現地調査の旅費を主な經費として計上してある。本年度の現地調査を次年度に延期する必要があったため、旅費及び調査用機器に關する次年度使用額が生じた。次年度の現地調査及び準備に使用する。
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