2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00533
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千田 俊太郎 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90464213)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パプア諸語 / 語彙研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も主にテキストと語彙の電子化を進めた。テキストについては、高齡の話者の資料のほか、若年層の話者の資料の電子化も進めた。音聲資料の書き起こしとグロス付け、及び全體の譯の作成も進め、テキスト中に現はれた數量表現について論考を準備した。書き起こしの結果、母音の長短や聲調の分析についてさらに考察を深める必要性が判明した。そこで、語彙については、ドム語については既存のデータの韻律情報を改めて確認し、既存のリストを修正し、新たな語彙項目についても入力を行なつた。合はせてトク・ピシンの譯語を對應付けて入力し、意味タグを付した。さらに、意味タグに基づいて既存の多言語對譯リスト(日、英、朝、エスペラント)との假の紐付けを一部施した。クマン語の語彙資料については、既存の辭書を參照して植物語彙を拔き出す作業を進め、ドム語話者によつて提供されたドム語語彙との對應を確認中である。 成果の公表は次の通りである。日本語起源論の文脈でパプア諸語が取り上げられたケースを日本言語學史に位置付ける論考を發表した。シンブー諸語の語聲調について口頭發表を行つた。また、日本語動詞語幹のアクセント上の振る舞ひについて論文を執筆したが、これはシンブー諸語の語聲調についての考察が發想において關聯してゐる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年も諸事情により現地調査が行なへなかつたが、今年度も、新型コロナウイルスの感染擴大により豫定してゐた現地調査ができなくなつた。その代はり既存のデータを整理する作業に終始することになつた。しかし、昨年より引き續き資料整理を行つた結果、結果として新たな發見を含む研究の進展があり、また資料電子化の速度は目標より速かつた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、次の海外渡航の目途がつかな状態であるため、若干の軌道修正が必要になる。電子化されてゐない未整理資料を電子化すること、またオンラインで公開するシステムの構築を主たる作業に据ゑる。
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Causes of Carryover |
豫算の多くは現地調査の旅費に當てる豫定であつたが、コロナウイルスの感染擴大に伴ひ、現地調査を行なふことができなかつた。今後状況が改善すれば現地に入る豫定である。また、多言語シソーラスの仕組みを改修する費用も必要になる。
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