2021 Fiscal Year Research-status Report
名詞化と補文化に関する通言語的研究ーユピック・エスキモー語を中心にー
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18K00534
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 幸誠 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (30397517)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語学 / フィールド言語学 / 認知言語学 / 認知類型論 / ユピック・エスキモー語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍にあり、予定していたアラスカでの現地調査は延期になってしまった。しかし、できるだけメールやネットを通じてインフォーマントとコミュニケーションするように心がけた。その上で、今年度は主に研究論文2本を執筆した。 (i) Cross-Indexing View からみた中央アラスカ・ユピック語の人称接辞に関する一考察 『時空と認知の言語学X』pp.31-40 (ii) 使用依拠モデルに基づく言語観 『認知言語学の基礎(認知日本語学講座 第1巻)』pp.197-265 また、研究テーマと関わる書評を日本英文学会の雑誌に執筆した。 (iii)(書評)Demonstratives in Cross-Linguistic Perspective (by Stephen Levinson et al) 『英文学研究 98』pp. 166-171. ユピック語の指示詞等は地形が関わって来るためやはり現地でインフォーマントと共に調査する必要性がある。書評論文を通じて得た知識を研究に応用するために来年は現地調査を行いたいと考える。また、一般書に、フィールドワーク体験を寄稿した。(iv)(エッセイ)英語ではbrother で兄も弟も表せますが、世界にはどのような親族名称パターンがあるでしょうか? 『眠れなくなるほど面白いことばの世界(国立国語研究所編)』幻冬舎新書, pp.128-134. 研究に様子等を一般の方にも紹介する機会となり大変良かったと考えている。また、最後に今までのフィールドワーク体験を通じて、言語記述の重要性を伝えるために、音声記述の入門書を翻訳した。(v)母音と子音 : 音声学の世界に踏み出そう (翻訳書) Ladefoged, Peter, Disner, Sandra Ferrari, 田村, 幸誠, 貞光, 宮城 (担当:共訳)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で現地調査がこの2年出来ていない。上にも示したがこれまでの成果はある程度まとめてきたが、ユピック・エスキモー語の特徴として地形等の理解が構文の理解にも重要であり、それが、例えばZoom 等の遠隔調査が効果的でない理由である。そろそろ現地に出向いてインフォーマントと仕上げの調査をしたいと考える。それまではこれまでの調査資料をしっかりと理解すること、先行研究等を理解することに努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は夏に2回(各2週間)、冬に1度(2週間)の現地調査を予定している。国際学会等に投稿するためにあと一息、現地でのデータ収集が是が非でも必要でありコロナ禍であってもそのタイミングをしっかり見計らって現地に行きたいと予定している。現在準備中の原稿を学会誌への投稿を現地調査終了をすぐにできるように整える。
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Causes of Carryover |
アラスカでのユピック・エスキモー語現地調査、2回分がコロナの影響で渡航できず未使用であり、その分が次年度に繰り上がっている。
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[Book] 認知言語学の基礎2021
Author(s)
碓井 智子、田村 幸誠、安原 和也
Total Pages
304
Publisher
くろしお出版
ISBN
9784874248690
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