2021 Fiscal Year Research-status Report
特殊拍の獲得における脳機能発達と幼児語・育児語の役割
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18K00537
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 裕 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (80415174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 直人 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 専門職研究員 (60550192)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特殊拍 / 言語発達 / 近赤外分光法(NIRS) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,長短母音や促音等,日本語のモーラリズム構造を特徴づける要素である特殊拍に着目し,特殊拍の有無による語彙対立を含む音声刺激に対する乳幼児の脳機能における発達的変化を明らかにし,特殊拍に対する言語的な処理の発達を明示すること(実験1),及び,特殊拍を含む幼児語・育児語に対する選好性を指標として,特殊拍の発達を促進させる要因を解明する(実験2)ことを目的としている。 本年度は,昨年度同様,実験2を実施し,特殊拍を語中に含む語と含まない語に対する選好性を選好振り向き法による行動実験にて調べ,さらに,その研究に参加した乳幼児の脳機能発達と照らし合わせ,個人,あるいは同じ月齢層の乳幼児の結果から,選好性と発達の関連を明らかにする予定であった。しかしながら,新型コロナウィルスの拡がりが収まらず,実験の実施が困難であった。特に,本実験では乳幼児を対象とした実験を実施するため,乳幼児と保護者に移動を必要とし,実験においては,実験実施者と参加者である乳幼児及び養育者との接触が必要となるため,実験の中止はやむを得ない判断であった。 そこで,本年度ではこれまでの実験の結果のデータの解析やまとめ等を実施し,特殊拍と関連する音の長さやリズム要素をもつ音楽知覚の論文を研究分担者が第一著者で執筆した(研究代表者は第二著者)。また,来年度に実験が実施できるように,補助事業期間の延長を申請し,実験開始に備えた準備を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,前述した様に,実験1と実験2から構成されているが,実験1に関しては,前年度までの実験の遂行により,特殊拍の違いによる発達過程の相違が明らかになりつつある。しかし,実験2に関しては上記の様に,新型コロナウィルスの影響により,実験の遂行が不可能であったため,研究の進捗状況はやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1に関しては,現在までに採取されている結果をまとめ,論文や学会発表にて公表する予定である。また,特殊拍ごとに発達が異なっている可能性が高いことが示唆されるため,発達が比較的後にされる特殊拍の刺激については,さらに月齢・年齢の高い参加者を募り実験を追加する予定である。 実験2に関しては,一昨年度及び昨年度に,刺激などの準備を済ませており,最終的な実験の準備を進め,選好振り向き法による行動実験と,脳機能測定を実施する予定である。それらの測定を縦断的に行い,特殊拍の獲得における幼児語・育児語の音配列パタンへの選好や知覚の鋭敏性が,特殊拍の獲得に関与しているかどうかを吟味する。
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた,共同研究先である理化学研究所での乳幼児に対する実験が,新型コロナウィルスの感染拡大の影響により延期された。この影響により,実験準備のための物品以外の旅費や被験者謝金に係る費用の出費がなくなったため,使用額に変更が生じた。来年度は,事業を延長し,今年度予定であった実験も加えて研究を進め,それに係る予算も使用する予定である。
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Research Products
(5 results)