2020 Fiscal Year Research-status Report
A Cross Linguistic Approach to Possession, Existence and the Conditions on their Linguistic Realization
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18K00538
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
今泉 志奈子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90324839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤縄 康弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60253291)
米田 信子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (90352955)
樋口 康一 愛媛大学, 法文学部, 客員教授 (20156574) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 「所有」と「所在」 / 経験者主語 / 事象(コト)の所有 / ヴァレンス拡大 / 外部所有者表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本プロジェクト最終年度(当初予定)であり、国内外での成果報告、ならびに年度末に成果発表会を予定していたが、コロナ禍の影響を受け、海外への渡航、国内移動を伴う打ち合わせ、対面でのワークショップ等すべて中止せざるを得なくなった。急遽、オンラインでの打ち合わせを実施し得る環境を整え、8月中旬に今後の方針について種々検討した結果、プロジェクト期間を1年延長し、2021年度を総括の年度とすることとなった。延長決定後も、各メンバーは研究対象とする「できごと(イベント)の所有」現象について担当言語のデータベース整備を進めるとともに、最終年度に成果の一部を論文化するための準備を進めた。 今泉(日・英語、統括)は、メンバー間の協働体制を調整し、新たに最終年度となった2021年度の研究計画の策定やオンラインでの成果報告の準備を開始した。また、メンバー3名の研究成果の総括として、「コトの所有と経験者主語」をテーマとした、経験者(関与者)項の具現にかかる意味的、文法的制約を日・英語、ドイツ語、バントゥー諸語との比較対照的視点から論じる共著論文の準備に着手した。 藤縄(ドイツ語)は、「思う」を意味する2つの動詞glauben"believe"とfinden"find" を対象にしたコーパス調査を通じ、各動詞における非定形補文表現(zu不定詞句、小節)の特異性がいずれも、直接知覚(=経験主による事象の所有)を意味するsehen/hoeren "see/hear" + ECMのそれと体系的に関連づけられるとの見通しを得た。 米田(バントゥ諸語)は、2019年度までに集めた12種類のバントゥ諸語の主語のプロパティに関するデータを検討し、「主語」の条件として求められる主題性に見られるマイクロバリエーションの類型化を行った。また、主語の主題性と存在表現の形式との関係に見られるバリエーションの検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは、「所有と所在」をテーマとして、広範囲にわたる言語(群)を分析対象とする言語横断的調査・研究を目的するため、多種多様な分析対象と研究背景をもつメンバーで構成されているため、海外への渡航、国内移動を伴う対面打ち合わせが不可能となった2020年度は、一時的であるが、プロジェクト進行を中断せざるを得なくなった。しかし、比較的速やかにオンラインでの打ち合わせが可能となり、プロジェクト期間を1年延長すること、ならびに最終年度に成果(の一部)を論文化することが決まり、そのための準備に着手できたことで、一時的な中断の影響は最小限にとどめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間(実質的には3年間)の成果にもとづき、成果報告に向けてデータべースの整理と理論的整備をはかることが本年度の研究活動の主目的であることに変わりはない。 ただし、海外でのデータ収集や成果報告を本格的に再開できるかどうかについては依然として見通しが立たない状況である。今後も状況の推移を注視しつつ、感染防止に最大限の注意を払いつつ、オンラインでの打ち合わせ、ワークショップ等を頻繁に実施することで、国内・外で可能な範囲での成果報告の準備を順次すすめる予定である。具体的には、7月上旬までにオンライン会議にて各メンバーの進捗状況を確認、総括に向けて3年間の研究成果をまとめるとともに、次年度以降、さらに発展的なかたちの新規プロジェクトを策定・申請予定である。12月までに対面による研究会が可能になれば、12月にメンバーによる報告会、年度末に公開型の成果報告会を開催予定であるが、状況に応じて、公開を限定的なものとし、成果報告会はオンライン実施を前提として準備を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受け、データ収集ならびに成果報告のための海外渡航、ならびに国内の対面での研究打ち合わせ、ワークショップ等をすべて延期せざるを得なくなったことから、補助事業の延長を申請し、受理されたことを受け、当初予定していた支出分を次年度に使用することとなったため。
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Research Products
(6 results)