2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Cross Linguistic Approach to Possession, Existence and the Conditions on their Linguistic Realization
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18K00538
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
今泉 志奈子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90324839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤縄 康弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60253291)
米田 信子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (90352955)
樋口 康一 愛媛大学, 法文学部, 客員教授 (20156574) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 「所有」と「所在」 / 経験者主語 / 事象(コト)の所有 / ヴァレンス拡大 / 外部所有者表現 / 日・英・独語比較対照 / 日・英・バントゥー諸語比較対照 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたり4年間の総括を行うとともに、本課題を基盤としつつ分析対象を動詞の自他交替現象に拡張する新規課題への展開についても検討した。6月のオンライン打ち合わせ、11月~2月に藤縄(ドイツ語)が渡独、2022年3月に対面での成果報告会を実施した。具体的には、本課題で得られた「事象の所有」へのアプローチを活かし、従来の研究では未整理の部分が多く残されている「関与・経験」概念を見直すことで、より包括的な語彙表示を探究する新規課題を策定、2022~24年度の基盤研究(C)として採択された。 今泉(日・英語、統括)は、メンバー間の協働体制を調整、3月の成果報告会を開催。成果公表の一貫として共著論文「状態変化動詞と事象の所有―経験主の語彙表示をめぐって―(仮)」(「岸本秀樹・臼杵岳・于一楽編『構文形式と語彙情報(仮)』」2023年10月刊行予定)を執筆中である。 藤縄(ドイツ語)は、自由与格項を「事象の所有者」と見なす点で我々と共通の枠組みによっている Schaefer (2008) が反使役動詞と共起した同項の解釈を「反使役化の形態論・統語論に条件づけられている」としていた点について、経験的な実例調査に基づいて再検討した結果、この項の疑似的使役主として解釈の可否はむしろ意図される反使役的変化の質(「有の状態」から「無の状態」への変化なのか否か)に負っているとの見通しを得た。 米田(バントゥ諸語)は、①反使役/使役交替、②適用形の受影機能について検討した。①ではスワヒリ語のnon-causal/causal交替の分析に通時的視点を入れることで、先行研究の分析とは異なる顕著な使役型指向を明らかにした。②では「事象の所有」の視点からヘレロ語の適用形に見られる受影の機能を再検討した。いずれの成果も国際学会で発表、①については論文を投稿(採択決定済)、②については現在論文を執筆中である。
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