2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigating the indexical shift mechanism and its interaction with the syntax and pragmatics interface
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18K00540
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
森田 久司 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (30381742)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | indexicals / point of view / perspective / long-distance anaphor / monster operator / utterance event |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、指標表現 (indexical)を扱っている。今まで、指標表現というと、「私」、「あなた」、「そこ」、I, theyのような代名詞のみを考えることが多かったが、本研究では、「です・ます」のような敬体や、「~てしまう」のような述語部分に発生するものを研究対象としている。(例えば、敬体の場合、「話し手」が「聞き手」に対して敬意を払うときに用いられるが、「話し手」、「聞き手」の概念を必要とすることから、指標表現の一種と言ってよい。)しかしながら、紛らわしい表現もある。例えば、「来る・行く」のような移動動詞、「~てあげる」などは、指標表現でなく、「意識主体照応性」(logophoricity)に関わる表現である。今年度は、これらの違いを明らかにしたうえで、異なるメカニズムでそれぞれが発生することを示した。具体的に、指標表現には2種類あり、ひとつは、文中のいかなる場所でも、その文が発話されたcontextを基準とするもので、もうひとつは、「~と言う」、「~と思う」などの動詞に埋め込まれた節内だと、その埋め込み節の発話(心内発話も含む)時点を基準に指標表現の指標対象が変化する。「私」、「あなた」などの代名詞は、前者に属し、文中のどこに現れても、それぞれ、話し手と聞き手を表す。それに対し、「~てしまう」のような指標表現は、「と」節内で使われると、その節を発話した主語が「話し手」として機能するため、その主語が埋め込み節の内容を好ましくないと思っているという意味になる。しかし、「田中君は、帰ってしまった」のように、主文で使うと、その文の話し手が、そのことを好ましくないと思っている。(Zazaki,Slave,Uyghurなどの言語では、代名詞が後者のグループに属していることもある。)ここまでの成果を口頭発表で披露し、草稿を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
革新的なアイデアを基に立てている主張であるので、その基礎部分を説明したうえで、本研究の主な考えを示す必要があり、なかなか受け入れられていない現状ではあるが、研究自体は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べたように、本研究を理解しようとすると、その前提知識の説明から入らなければならない。その結果、口頭発表で研究成果を発表しようとしても、アブストラクトの段階で落とされることが多く、実際に発表しても、前提段階のところで理解に時間がかかってしまい、本研究の核となるところを理解してもらえない。したがって、2020年度は口頭発表は重視せず、論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通り使用できたが端数が生じたため。
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Research Products
(10 results)