2020 Fiscal Year Research-status Report
主節構造と意味解釈のインターフェース:生物言語学的アプローチ
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18K00544
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
井川 美代子 (安井美代子) 獨協大学, 外国語学部, 教授 (90212729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅山 佳郎 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (60364725)
田中 秀和 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70750983)
水口 学 東洋大学, 社会学部, 教授 (90555624)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | のだ構文 / ラベル付け / 省略文 / とりたて詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
主節構造に関わる意味解釈の言語間の差、(i) 時制の一致の有無、(ii) 主節の時制形態素の義務性、(iii) 終助詞の有無、(iv)とりたて詞の共起制限などが本研究の課題である。 安井は主節現象としての「のだ」構文に関する2020年3月の国際学会での発表を論文にまとめた。論文集は現在印刷中である。また、2つの句の併合によってできる構造をphi-素性の一致でラベル付けする英語などの言語と、終助詞などを使ってラベル付けする日本語などの言語についての2019年度の学会発表を発展させ、論文としてまとめている。時制の一致の有無と現在時制を表す形態素の有無に関する英語、日本語、中国語の比較研究は浅山と安井が継続中である。 田中は、「Q:誰が来たの?A:誰も」のようなwh疑問文に対する断片的な答えが、弱い島を含む島の制約に従うこと、また先行詞になるwh疑問文でのかき混ぜ規則の適用が文法性を左右することから自然言語における削除は統語的同一性を要求することを示す論文をLinguistic Inquiryに投稿中である。また、Wiles proved Fermat's Last Theorem, but I don't know howのような文は一般にsluicingとして捉えられているが、VP-deletionとしても解釈されうることを示す論文をJournal of Linguisticsに投稿中である。 水口は節構造における主語に注目し、ラベル付けによるEPPの説明には理論的経験的問題があることを示し、その代案を極小性理論の言語デザインの観点から追求した論文をまとめている。 浅山はとりたて詞「さえ」をRizziのCP 階層における焦点句(FocP) の主要部として分析し、学内研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度はコロナ禍による全面遠隔授業への切り替えのため、時間とエネルギーを本研究に十分に割くことができなかった。また、海外出張は実質不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に公刊に至らなかった論文の公刊を目指すとともに、3年間の研究の発表会及び報告書を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため海外出張が行えなかったことが一番の原因である。海外出張が可能となれば積極的に海外での発表を行う。また、3年間の研究の発表会を国内で行い、報告書を作成する予定である。 田中は2020年度に予定していたパソコンの購入をより研究に集中できる2021年度に延期した。2021年度早々に購入する。
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