2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Science of Philosophical approach to the conceptual foundation of the Mimimalit Program: An analysis of Idealization, Causality, and Reality ity, and Reality
Project/Area Number |
18K00562
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 雅信 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 名誉教授 (30133797)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 因果性 / ガリレオ的思考法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究のテーマと生物言語学/生成文法の方法論との関係を明確にするために,Chomskyが「ガリレオ的思考法」と呼ぶ自然科学の方法の特徴を,Chomskyはどのようなものと考え,どのように生物言語学/生成文法に取り入れられていると考えているのかをChomsky (1979/1988, 1979, 1980/2005)の論考に基づいて確認しまとめる試みを行い、研究ノートとして出版した.この試みはすでにBotha(1982)が行い,最近ではAllott et al. (2021)も行っているが、これらの研究は,科学史・科学哲学的観点をさらに補って再評価する必要がある.そこで,この研究ノートではこの問題をChomsky-Hornsteinのテーゼとして定式化し,問題に取り組むための課題を明確にした上でその一部についての考察を行った.その結果,Chomskyは,ガリレオ的思考法は,抽象化と理想化を中心的な特徴として持つと考えていることが確認できた.さらに,単なる記述より深い説明を求めるという特徴を持つと考えていること,ここでより深いというのは,演繹的な説明を行うことであると考えていること,このような観点からそれまで取り上げられていなかった言語の創造的側面の問題に取り組んだことなどが確認できた.さらに,ガリレオ的思考法のもう一つの特徴と考えているのは対象についての興味深い事実のみを説明し,すべてを説明する必要がないという理想化に関わる方法論的姿勢であり,文法のすべての特徴を説明する必要がある考えていたChomsky以前の言語学者とは異なっていることが確認できた.この研究と並行して,科学哲学での因果性の研究の展望の中に位置づけて,初年度と2年目にテーマとした生物言語学/生成文法における因果性とメカニズムの概念の分析を進め,この2つの概念の関係をさらに明確にした.
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