2021 Fiscal Year Research-status Report
自然談話構造理解のための、音声・変異動態に基づいた談話標識の研究
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18K00564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
甲田 直美 東北大学, 文学研究科, 教授 (40303763)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 談話標識 / 動態変化 / 通時態 / 共時態 / 社会言語学 / 談話データ / 接続詞 / 歴史変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
一定の共時態における談話標識と接続詞のバリエーションから動態変化を探った。言語の中には、言語変化しやすいものとしにくいものがある。接続詞のうち、原因理由、逆接、仮定条件は変化しやすいが、添加、列記は変化しにくい。これは、相手との相互作用のためにより効果的な表現を求めるため変化しやすいからである。各地の方言談話で接続詞に共通語形が現れ、接続助詞で方言形が用いられるのは接続詞が単独で談話標識として用いられるため、入れ替えやすいからだと考えられる。甲田(2018)で検討した方言談話における接続詞のバリエーションの多少が、これまで多く指摘されている言語変化の動向と対応するということについて全体像を探った。 接続表現の変化を考えるとき、使用年代の異なるデータを比較する方法があるが、同一の話者、ジャンル、話題、使用場面等を均質にして比較することは困難である。近年、電子化コーパスの拡充により、接続表現と文体特徴との相関について分析が進められている。そこで明らかになったことは、文体特徴は単に話し言葉-対-書き言葉のような単純なものではなく、柏野(2013)にあるように「専門度」「客観度」「硬度」「くだけ度」「語りかけ性度」等の要素が絡まったものであるということである。これらの研究から、たとえ書き言葉という共通した媒体であっても使用年代の推移ごとに比較しただけでは言語変化の実態を捉えることはできないものと思われる。ある一定の共時態データにおける談話標識、接続詞、接続助詞を観察することで、そこに見られる接続表現のバリエーションから変化の様態を探る可能性について論じた。これまで扱ったデータを含めて検討し、全体的見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的整備は順調に進んだ。談話データを採取したかったがコロナのため制限せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の談話標識、接続表現の動態変化について、多角的に現状を切り出す。
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Causes of Carryover |
コロナにより国際学会での発表がオンラインとなり、当初予定していた経費に変更があった。
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Research Products
(8 results)