2020 Fiscal Year Research-status Report
East Bodish諸語の言語実態・言語変化・言語変容
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18K00565
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西田 文信 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (40364905)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | East Bodish / 文法記述 / 危機言語 / ブータン王国 / 歴史言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究内容は以下の2点である。 1)East Bodish諸語の形態統語論の研究 コンサルタントへの質問に基づき、特に関係節、名詞修飾、節の連鎖に関する例文を収集した。その結果、関係節や修飾語を構成する形態素により異なる構文が現れるという興味深い現象が観察された。これらの意味的・統語的機能に関しては引き続き調査を継続していく。ブムタン語やクルテップ語などのEast Bodish諸語の音韻・形態・統語現象をマンデビ語と比較する作業を昨年度に引き続き行った。研究成果に関しては、ベルン大学のHimalayan Languages Project及びブータン王国のDzongkha Development Comissionへ提供され、今後の諸研究に応用される形て提示した。 2)マンデビ語の歴史言語学的研究 East Bodish諸語におけるマンデビ語の言語学的位置の検証のために、歴史言語学的研究も進めたが、この過程で、幼児語(nursery words)における母音交替、子音連続の簡素化、音韻挿入、音韻脱落、複音節化等の現象を詳細に観察した結果、音韻変化への示唆とみられるものを数多く見つけることができた。この点に関しては蓄積した研究成果を「マンデビ語における幼児語の言語特徴について」と題して先住民言語文化研究会第3回例会で発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行により、当該研究において不可欠なコンサルタントとの直接的なやり取り、現地調査、海外の研究者との学会・研究会活動等の予定に関して大幅な変更を余儀なくされた。遠隔システムを用いての文法調査も行ったが、自然発話、談話の収集に関しては当初の予定通りには行うことが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の実績に基づき、当初の目標であるEast Bodish諸語の言語変容・言語変化・言語変異の解明に向けて言語データの解析を行う。 目下、コンサルタントや海外の近隣領域の研究者とはメールや遠隔システムによりやり取りを行っているが、今後のCOVID-19の状況改善を待って、自然談話の収集に努める。
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Causes of Carryover |
当該年度における現地調査を行わなかったため。翌年度、COVID-19の状況改善が見られた場合、当初予定より長期の現地調査を行う予定である。
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