2023 Fiscal Year Annual Research Report
Strategies in ambiguity resolution: a cross-linguistic perspective on the role of prosody
Project/Area Number |
18K00566
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小泉 有紀子 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (40551536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心理言語学 / 英語 / スペイン語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目標は、人間の言語理解・産出のメカニズムを明らかにすることであり、そのために、解釈が2通り考えられる文(構造的多義性)の処理においてその文のもつ韻律特性や語用論的特徴の役割に焦点をあてて検証することである。否定と副詞節(because節)の作用域の相互作用の処理に関するこれまでの英語での結果を踏まえて、スペイン語や日本語での同種の構造を考察し、その意味・韻律・情報構造の特性や、処理プロセスを検証する。 令和5年度は、スペイン語における否定と作用域の多義構造(e.g. Julia no compro la blusa blanca porque es/estuviera de seda) の実際の言語使用例において、2つの可能な解釈がそれぞれどのような頻度で出現するかを、スペイン語コーパスを用いて調査した結果をスペインでの国際学会で報告し、さらに論文として発表した。コーパスから抽出した約1000例のうちの90%以上が、porque節よりも否定が小さい作用域を取る読みであった。また、porque節には直説法が使われる例が多かったが、否定の方がporque節よりも作用域が大きい時には接続法が用いられた。動詞の形を調査するとともに前後の文脈と合わせてスペイン語母語話者に解釈判断をしてもらったが、動詞の「法」と作用域の関係性にはさまざまなパターンがあることや、スペイン語においてもporqueの前にコンマが用いられる例が解釈を助けているような例が見つかったことは興味深く、今後の心理言語学的検証に役立つ結果が得られたといえる。 また、科研費を使用して、カナダの研究協力者の元を訪問し、研究の今後の方向性(例えば視線計測や脳波計測などの導入)について有益な打ち合わせができ、現地の大学での招聘講演を通じて、さまざまな研究者との情報交換もすることができた。
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