2021 Fiscal Year Research-status Report
A Generative Approach to Quantification in Japanese Dialects
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18K00574
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 陽一 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (50301271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅子 西南学院大学, 外国語学部, 准教授 (00708571)
大滝 宏一 中京大学, 国際学部, 准教授 (50616042)
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (80198431)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥筑方言 / 選言的接続詞 / 生成文法 / 真偽値判断課題 / 「の」格名詞句 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tamura, Miyamoto and Sauerland (2019)では日本語の選言的接続詞の「か」が救済効果(rescuing effect)を示すことを明らかにし、当該要素は肯定極性表現(positive polarity item)の性質を持つと主張した。これはNicolae (2017)のフランス語の選言的接続詞の分析を日本語から支持するものであった。本研究では、さらに表層構造(overt syntax)における選言的接続詞の位置が解釈に影響を及ぼすか否かを熊本方言話者を被験者としてオンラインで実験真偽値判断課題を行った。具体的には、熊本方言において「が」格主はTP指定部に、「の」格主語はvP指定部に生成されるとするKato (2007)、Nishioka (2018, 2019)等の主張に基づき、この2種の主語よりも前にスクランブリングされた選言的接続詞を含む目的語はTP付加位置もしくはvP付加位置の異なる統語位置に移動することが可能であると考えられることから、スクランブリングされた場合の選言的接続詞と否定辞の作用域の関係について検討した。 主な成果は次の2点である。(1)「が」主語、「の」格主語に関わらず、文頭にスクランブリングされた選言的接続詞を含む目的語は否定辞よりも広い作用域を好む傾向がある;(2)基本語順である主語の後に選言的接続詞を含む目的語が生成された場合は否定辞よりも狭い作用域を選択することも可能である。この実験結果はNicolae (2017)の分析から正しく予想されるものであり、Tamura, Miyamoto and Sauerland (2019)の分析を支持するものであると考えられる。 さらに理論的には、N'削除、「が」格目的語、「の」格名詞句等の認可条件について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍であるため、対面による実験が行えず、実証研究の側面においてやや遅れている。しかしながら、理論研究においてはヨーロッパ諸言語の方言まで考察対象に広げ、日本語のN'削除、「が」格目的語、「の」格名詞句等の認可条件について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
実証研究においては、対面による実験を行いたいところではあるが、依然として実施が難しい場合はオンラインで、「が」格主語ならびに「の」格主語が「2人以下」、普遍量化詞を含む場合について実験を行う予定である。また、理論研究においては、N'削除、「の」格名詞句、「が」格目的語の認可条件等に関する分析の更なる精密化を図り、研究成果の公表に努める。すでに出版予定があることを付記する。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍で対面による実験が行えなかったため、次年度に追加実験を行う予定である。
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Research Products
(5 results)