2021 Fiscal Year Research-status Report
日本語と英語における語種と複合語の関係から見た借用の一般理論
Project/Area Number |
18K00575
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 忍 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 教授 (20294176)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 語種 / 漢語動詞 / 複合動詞 / Latinate verb / Germanic verb |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、令和2年度に行えなかった、日本語と英語における語種と複合語(および句動詞)との対照に取り組むことを予定していた。令和2年度までの研究で、日本語において和語複合語が関与する動詞(「流れ出る」などの複合動詞、「受け付け(する)」などのいわゆる動名詞)と二字漢語動詞(「流出(する)」「凍死(する)」など)との平行性を様々な点から指摘した。それによって、これまで漢語に特有の問題とされてきた性質が和語複合語にも見られることを明らかにすることができた。一方、英語の研究においても、いわゆる与格交替(dative shift)が可能な動詞がほぼゲルマン語起源の動詞(Germanic verb)に集中していること、名詞化した際にcomplex eventの解釈ができるのがフランス語起源の動詞(Latinate verb)に集中していることなど、語種が異なる動詞には異なる特徴が見られることが指摘されている(Grimshaw 2005)。また、Harley (2007)はLatinate verbとverb-particle constructionの類似性を指摘しているが、これはこれまでの申請者の研究で明らかになった日本語の漢語動詞と和語複合動詞の類似性と平行する部分が多いと考えられる。 このような観点から、英語におけるLatinate verbとGermanic verbに関する研究をさらに深めて、日本語の漢語動詞と和語複合動詞との平行性を明らかにする予定だったが、令和3年度においても、コロナ禍により英語を母語とする研究者との共同作業を十分に行うことができず、さらに1年間の延長を行うことになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は、令和2年度に行うことができなかった、英語を母語とする研究者のサポートを得て英語の研究を中心に行い、日本語との類比性を明らかにする予定だったが、引き続きコロナ禍により当該研究者との共同が難しくなったことから、研究期間の延長を行うことになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収束に向かいつつあるため、英語を母語とする研究者との共同作業に本格的に着手したい。データの収集と分析を行い、研究の総括を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、共同研究者として予定していた研究者との共同作業がはかどらず、研究期間を1年延長することになったため。
|