2020 Fiscal Year Research-status Report
表現媒体としての問答テキストの系譜から見る近代西洋人の官話研究
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18K00591
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 鳳 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (00388068)
伊伏 啓子 北陸大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (40759841)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代中国語 / 東西言語文化接触 / 官話 / 問答テキスト / キリスト教宣教師 / 近代西洋人の官話研究 / 外国語としての中国語 / ”官話”像 |
Outline of Annual Research Achievements |
個別の研究業績については、業績一覧に挙げる通りであるが、2020年度はコロナ禍の影響で、予定していた国内外の図書館・学術機関での文献実地調査と対面式の国際シンポジウムへの参加が叶わなかないことから、執行を予定していた研究費は同内容での用務を予定して繰り越すこととした。一方で、メンバー3名がいずれも前年度までに調査・収集していた資料を活用した成果を報告・論文として公表することができた。まず、国際シンポジウムでは10月に東アジア文化交渉学会第12回年会(オンライン、当初開催予定校の中国・鄭州大学がホスト)に3名が報告し、国内学会では12月に中国近世語学会2020年度研究集会で1名が報告を行なった。前者では、カトリックからプロテスタントに至るキリスト教漢訳聖書を官話訳を含めて題材として、時間表現、音訳語、蓄讃詩の概要をそれぞれ報告した。さらに後者では代表者1名が、前者の報告を基礎として、早期漢訳から文理訳、そして官話訳に移行する発展過程において、西洋式の時間をどのようにして中国語の表現として取り込んでいったか官話の文体との関わりも含めて調査した結果を報告した。また、前年度のシンポジウム、学会で口頭報告した成果をまとめた複数の研究論文が、中国の査読付論集『国際漢語教育史研究』をはじめとする国内外の雑誌・論集に掲載された。なお、上記の各成果につながる考察用データとして、収集資料のテキスト化も継続的に行なっており、それによって蓄積されたデータそのものも本課題による成果の一部であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄でも記述したように、2020年度の研究活動では、メンバー全員が国際シンポジウムで成果を口頭報告し、加えて代表者は国内学会でも成果を口頭報告することができた。また、メンバー全員の論文が中国・商務印書館から刊行される査読付き論文集に掲載・刊行されたことからも、おおむね順調に進捗したと考えている。一方で、昨年来の新型コロナウイルス感染症流行の影響で、メンバーの所属先がいずれも海外渡航を禁止したために、複数の資料調査・国際シンポジウムでの報告がそれぞれ中止となり、予定していた費目の研究費執行において影響が出たことは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度報告でも同趣旨の内容を記述したが、新型コロナウイルス感染症流行の影響が依然として続いていることから、メンバー3名ともエントリーして発表査読を通過した複数の国際シンポジウムがオンラインで開催となるなど、成果報告のツールの確保についてはほぼ支障が無いものの、計画していた費目での研究費の執行という面ではいささか予定通りとは行かなくなっている。さらに、当初予定していた海外をはじめとする資料調査も、同じくコロナの影響で所属先が海外渡航を禁止したことによりペンディング状態になっており、現在までのところ実施できていないが、これについても、すでに調査対象と範囲については事前準備が整っているので、事態の好転で禁止措置が緩和されたタイミングで実施できるようになることも1つのケースとして想定しつつ、同時に、出張できない不自由を逆に時間的な余裕として活用して、各自が現在までのストックできている資料について、さらに詳細に内容に関する再検証の作業を行なっていく予定である。 上述の通り、本研究課題の活動の核となる移動を伴う研究活動の実現可能性については流動的な要素が多いために、可能な状態になった時に速やかに動けるように継続的に情報収集し準備を整えておくこととする。一方で、移動を伴わない研究活動については、入手済みの資料についてデータ入力作業を前年度から継続的に行なっていることから、今年度についても同様に作業を続ける予定である。また、研究論文での成果発表についても、すでに複数の研究雑誌、研究論文集に執筆エントリーを行なっており、複数の成果が今年度末あるいは来年度中に公開できるはずである。
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Causes of Carryover |
研究実施状況の報告にも記載の通り、新型コロナ感染症流行の影響により、予定していた国際シンポジウムでの報告がオンライン開催となり、国内外の図書館・学術機関での現地資料調査の大部分が延期になっていることによる。対策としては、まずは流行終息の兆しが出た場合に速やかに現地資料調査が実施できるように準備を整え、さらに、並行して流行終息が望めない場合の軌道修正を想定してデータ・テキスト入力と保存にエフォートを傾斜させることも考えている。
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