2020 Fiscal Year Research-status Report
対話性と響鳴に基づく伝達言語の発話構築と認知のメカニズム:認知語用論的研究
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18K00593
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
崎田 智子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (10329956)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発話構築 / 認知 / 対話性 / 響鳴 / 伝達 / 対話統語論 / 認知語用論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、対話統語論、伝達、認知言語学の理論に基づいて、日常言語における自然な発話構築プロセスを解明することを目的とする。特に、認知と対話のインターフェースにおいて構造と言語処理と発話を探求することによって、先行発話が概念基盤となり発話産出につながるプロセスと、異なるレベルの響鳴に触発される意味拡張のプロセスを、発話間マッピング及び認知図式により明示することを目指した。 また逆に、現行発話からその統語構造と概念構造の双方を形成する基盤が明らかにされること、さらに、自然な発話を説明するためには対話文法と認知文法の双方の視点が肝要であること、を伝達言語の現象から検証した。 本年度は、発話の修復に関わるLevelt(1983, 1989)の自己監視モデルを用いた自己修復のパターンについて、新たに響鳴とスタンス(Du Bois 2007)の側面から分析を試みた。特に、発話の自己修復時に話者がスタンスとりに伴って主観的に事象評価を行うプロセスには、話者が間違いを自己認識するだけでなくスタンス変更の必要性を認識するプロセスが深く関わっている。対話データの分析により、この自己修復を開始する際のスタンスとりのメカニズムを探究した。これが自然な会話の中で発話の表層にスタンス標識として現れる際の特徴を整理分析した。 また、発話間マッピングや認知モデルを統合し、実際の対話を分析する際の問題点や注意点を検証し、他の研究者へフィードバックすることをつとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、コロナ禍により年間を通して国内外でのフィールドワークの中断を余儀なくされた。渡航キャンセル、データ収集の見送り、が発生した。また、成果発表予定の学会も延期・中止となったものがある。
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Strategy for Future Research Activity |
国外の大学との研究協力体制を確固たるものにしていたが、停滞しているため、オンラインによるミーティング等を活用していく。また、あらゆるレベルの人間関係と場面設定を含む自然言語データの収集を目指していたが、データ収集が困難な部分は、既存のデータやcorpusを活用して分析を進める。文献リサーチも充実させる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりフィールドワークや研究打ち合わせのための海外渡航の延期を余儀なくされ、また、成果発表を予定していた国際学会が次年度に延期となり、国内学会が中止になった。これらの予算を次年度以降に繰り越し、再開のめどが立ち次第、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)