2018 Fiscal Year Research-status Report
Semantic Research in the Sound-Symbolic System of Bangla
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18K00594
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大西 正幸 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (10299711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベンガル語 / 音象徴システム / 表出語 / 文学作品コーパス / 南アジア言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、まず、平成30年7月に、京都大学東南アジア地域研究研究所にて、日本側の研究協力者であるバデノック准教授と2名のベンガル人研究協力者(DattaおよびSamaddar)の参加によるミーティングとワークショップを開催、辞書からのデータ入力についての計画を策定し作業を開始した。その後、大西と、インドに戻った2名の協力者が、インターネットを通して共同作業を進めた。年度末までに、iCloudを通じて、Samsad社のベンガル語-英語辞典の打ち込み・編集作業を終え、さらに同社のベン-ベン語辞典の3分の1の打ち込みを終えた。 続けて、平成31年2月には、大西と、研究協力者DattaおよびSarkarの3名が、同じく京都大学東南アジア地域研究研究所にてミーティングを行い、文学作品コーパスの構築に向けての計画を策定した。その後、大西は、京都および熊本在のインド諸言語の表出語を研究する研究者たちから、追加情報と言語資料の収集を行い、そのアドバイスの下に作業を開始した。年度末までに、ベンガルの近現在文学を代表する作家タゴールの全短篇集の3分の1強のチェックを終え、521例を入力した。 また、この2月のミーティング時に同研究所で並行して開催された、科研(基盤B)「expressivesの類型論的研究-恣意性を超えて」(バデノック准教授代表)の最終ミーティングで、大西とDattaのベンガル語の音象徴システムに関する共同発表と、Sarkarのベンガル語文学における音象徴に関する発表が行われた。ベンガル語の表出語に関する、大西とDatta共著の英語論文およびSarkarの英語論文も、それぞれ年度内に完成した。これらの論文は、現在、オランダの Brill Publishers により査読中である。この他、長田・プルティ・バデノック共編の『ムンダ語擬音語擬態語辞典』(令和1年中に出版予定)において、「ムンダ語との比較による標準ベンガル語とジャルカンド方言のexpressive」(大西・Datta共著)を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度中に開催された二つのメンバーミーティングと、その後のインターネットでの共同作業を通じて、辞書および文学作品からのコーパスを作成する作業が軌道に乗り、着々とデータが揃ってきている。 また、「概要」に述べた、Brill Publishers で現在査読中の、ベンガル語表出語に関する大西・Datta共著の英語論文およびSarkarの英語論文は、本科研の対象となるベンガル語音象徴システムの全体像とその言語学的分析の方法論を提示しており、これらの論文の完成によって本科研が目指している収集データの音韻・意味分析とコーパス構築の基礎が築かれたと言える。 さらに、大西・Dattaの共著による「ムンダ語との比較による標準ベンガル語とジャルカンド方言のexpressive」(令和1年出版予定)は、標準ベンガル語とDattaの母語であるジャルカンド方言のデータの比較分析を含む。この完成によって、今後、地域変種のデータをどこまでコーパスに含むかの指針を示すことができた。 以上のことから、辞書および文学作品コーパス構築に向けての方法論的な準備はこの1年で整い、データ蓄積の作業も予想よりかなり早く進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年/令和1年度は、平成30年度に続き、代表者大西と研究協力者Sarkar, Datta, Samaddarが、辞書および文学作品からの表出語データ入力作業を続ける。入力されたデータはiCloudを通じて共有される。入力データの編集・分析は、主にインターネットを通じての議論をもとに、大西が中心となって進める。辞書からのデータの編集作業はすでに軌道に乗っているので、特に文学作品コーパスの構築に重点が置かれることになろう。 令和2年度は、データ入力・コーパス構築を継続するとともに、そのデータをもとに大西・Datta・Sarkarの共著による『ベンガル語表出語語彙集』のウェブ上での公開を目指す。また令和3年度は、同じく共同執筆による英文モノグラフを完成するとともに、このモノグラフとウェブ公開中の語彙集を基礎に、『ベンガル語表出語辞典』の完成を目指す。 令和2-3年度の2年間は、こうした執筆作業と成果公開のため、随時、ベンガル現地や日本での調査・研究会・ワークショップを開催する予定である。
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Causes of Carryover |
平成31年2月に追加開催したメンバーミーティング、およびその後の大西の出張費用を、前倒し請求による予算で補った。その際の出張に関する支出が予測をやや下回ったため、少額の次年度使用額が生じることとなった。
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