2018 Fiscal Year Research-status Report
女真大字と契丹大字の比較研究に基づく文献解読の新展開
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18K00600
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
吉本 智慧子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (70331105)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 契丹大字 / 女真大字 / 女直字書 / 女真訳語 / 墓誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度においては、第一に、既発見の全ての契丹大字をリストアップし、重複していないものを選定した。2005年の時点で電子化していた契丹大字は1002個(異体字を数えない)、解読済みのものは397個だったが、2016年時点では、すでに1087個、うち 解読済みのもの876個に達している。これらの一部の字体には年代による変化が認められるが、本年度の作業ではそのような異体字のありかたをも含め、あらためて包括的に検討した。ついで、2010年代に発見された9件を含めた契丹大字墓誌19件の解読研究を進めた。第二に、本年度は中国における資料調査を行った。2018年5月7日~20日には、山東省蓬莱(蓬莱閣文物管理所・蓬莱市歴史文化研究会・蓬莱市政府史志事務室)・泰安(泰安市図書館・泰安志博物館)・済南(済南市博物館・山東省図書館)および北京(国家図書館)において、金朝時代の女真大字碑文の発見地及び関連遺跡、契丹時代の西奚に関する地理的、考古学的調査を実施した。ついで11月23日~30日には陝西省西安(柴窯文化博物館)・内蒙古自治区フフホト(内蒙古自治区博物院)・山西省太原(山西省博物院・太原市博物館)において、金朝初期の女真大字および契丹文字の発見地並びに関連遺跡に関する地理的、考古学的調査を実施した。ついで、2019年2月27日~3月5日には安徽省合肥(安徽省博物院・安徽省文化博物館)および北京において、淮河流域における金代の考古学遺跡及び遼代の契丹文字の新資料に関する地理的、考古学的調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年4月の交付申請書には、研究実施計画として、「既発見の全ての契丹大字をリストアップし、重複していないものを選定する。2005年の時点で電子化していた契丹大字は1002個(異体字を数えない)、解読済みのものは397個だったが、2016年時点では、すでに1087個、うち解読済みのもの876個に達している。これらの一部の字体には年代による変化が認められるが、今回の作業ではそのような異体字のありかたをも含め、あらためて包括的に検討する。ついで、2010年代に発見された9件を含めた契丹大字墓誌19件の解読研究を進める」と記したが、「研究実績の概要」に記したように、この作業は完遂しえた。研究成果のとりまとめに時間がかかっており、本年度に成果を公刊しえなかったことはいささか遺憾である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度以降は、契丹大字研究を踏まえて、『女直字書』の未解読分の女真大字423字の解読研究を進める。『女直字書』には1189字が用いられ、53字の重複を除けば、1136字となる。さらに2016年にロシア・アルハラ河畔の女真大字墨書を解読研究した際に、現存の全ての女真大字を統計したところ、1335字となったが、『女直字書』の未解読分423字は、1119年以降の資料には見えず、そのためそれらの意味・音価は正確に復元できなかった。明代四夷館『女真訳語』に見える女真大字の字形・音価・意味と契丹大字のそれを比較することによって女真大字の製字原則を解明し、それを手掛かりに、この423字の解読につとめる。ついで、以上の作業を踏まえて、女真大字と契丹大字の関係について包括的な再検討を試みる。研究期間中に女真大字・契丹大字の新発見が見込まれる。以上の作業に並行して随時、中国・ロシア連邦・モンゴル国などにおいて資料調査を行い、最新の情報の獲得につとめる。
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