2018 Fiscal Year Research-status Report
日本語名詞の意味機能と統語的特性:同格名詞句と文法化現象からの検証
Project/Area Number |
18K00615
|
Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
眞野 美穂 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10419484)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 同格 / 名詞 / 日本語 / 統語関係 / 意味関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本語において名詞が持つ統語的特性と機能、そしてそれに影響を与える要因を明らかにすることである。名詞が、動詞と並び文を構成する重要な要素であることは一般的に知られていることである一方で、日本語の名詞自体の統語的分析は、形態的・統語的手がかりの少なさから、動詞と比べ非常に遅れている。本研究では、同格名詞句の分析と、名詞から類別詞への文法化データという、これまであまり注目されてこなかったデータを使用し、多角的な視点から観察することで、手がかりの少ない日本語の名詞の統語的特性と機能について解明を目指す。特に、①名詞の持つ意味と統語的特性の関係、②その性質に影響を与える意味機能、に着目し、分析を進める。 1年目の平成30年度は、主に同格名詞句の研究を進めた。日本語の同格名詞句の研究はほとんどないに等しいため、主に他言語の同格構造についての文献調査を行い、日本語同格名詞句の特徴と比較を行った。 また、日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)を使用し、すでに収集を終えていた固有名詞を含む同格名詞句のデータに加え、固有名詞を含まない同格構造のデータを探し、検討をおこなった。数が多すぎたため、ランダム・サンプリング調査を行った結果、固有名詞を含まない同格構造はほとんど存在しないことが明らかになった。 これらの調査結果に加え、様々な同格名詞句の構造について、名詞句間の意味関係の分析と、統語的振る舞いの差異について分析を行い、その結果を学会ワークショップで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度は当初の計画通り、同格名詞句に関する文献調査と、BCCWJを使用したデータ収集とその分析を計画通り行うことができた。それらのデータに基づき、同格構造の意味的分類と統語的な振る舞いの差異と、その要因について、分析し、学会で発表し、意見を得ることができた。当初の計画より学会発表は早く行うことができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は予定通り、前年度で得られたデータをさらに詳しく分析し、学会発表時に得たコメントをもとに論文を出版する予定である(すでに第一校を提出している)。 また、名詞の類別詞への文法化研究を開始し、最新の研究の文献調査を行うと共に、同格名詞句の分析で得られた結果と、Mano (2013)で行った名詞と類別詞の連続性に関する研究をもとに、コーパス(BCCWJ)を使用してデータを収集し、名詞が類別詞に文法化する過程で失われる特性について調査を行い、統語的な振る舞いを探る。全体的に、少し予定より早く進められていることもあり、可能であれば、学会発表を目指したい。
|
Research Products
(1 results)