2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00619
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
福沢 将樹 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30336664)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 談話分析 / 文章論 / 注釈 / 草子地 / 物語論 / アスペクト |
Outline of Annual Research Achievements |
「談話開始詞とターン開始詞─虎明本狂言を中心に─」国語語彙史研究会(第123回)にて、虎明本狂言台本を用いた研究発表を行った。「談話文法」構想の一環である、中核に対するメタ言語としての「談話開始詞」と「ターン開始詞」という概念を用いて、劇中の談話全体を開始するときの表現とターン開始の表現について、おおまかな見取り図を描いた。人が人と出会って(あるいは人外の者と人が出会って)、初めて談話を開始しようとするとき、狂言では極めて周到な配慮に基づいた表現が使用されており、何の前触れもなく偶然に開始したり終了したりすることが少ないこと、またそれはキャラクターや人間関係に応じて使い分けられていることから、プロトタイプとしての分析に適していることが見て取れた。 また「論文の〈予告表現〉に見られる「~ていく」試論」(『説林』68号)において、学術論文の叙述におけるメタ言語表現の分析を行った。論文中でこの先の叙述を予告するときのアスペクト表現に焦点を絞って論じた。これもまた「談話文法」構想の一環である。単なる意志未来形としては、動詞単独の形を用いて「以下~検討する」とだけ述べてもよいわけだが、たまに「以下~検討していく」という表現が用いられる。そうした表現の意図を探るとともに、テンス・アスペクト論における「未来形」としての位置づけを考察した。また文章論的観点において、メタ言語表現としての〈予告表現〉の範囲(定義・外延)についても考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は1本程度まとめられれば十分と考えていたが、かなり苦労して口頭発表を含め2本公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところはまだ各論レベルなので、全体像のまとめと、関連する先行研究の位置づけを行う。
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Causes of Carryover |
マイナスになったら発注が進まないかもしれないので。 引き続き次年度分と合わせて図書や消耗品類に使用する予定である。
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