2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00622
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
山本 真吾 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70210531)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 南北朝時代語 / 室町時代語 / 太平記 / 口語 / 文語 / 高山寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、高山寺、石山寺、東寺等の近畿地方の古刹に所蔵の南北朝及び室町時代初期の日本語史研究に資する文献の調査に従事した。所蔵の訓点資料、漢字片仮名交じり文は、当時の文語規範を保ちながらも、口語要素が見られ、今後も継続的に調査を進める必要があると認められる。特に、高山寺には、数多くの有用な文献が所蔵されており、目下、南北朝及び室町時代初期の成立・書写になる古写本の目録作成を進行中である。現時点で、第1部から第2部までの目録(稿)を作成しており、第1部では、南北朝:漢文・訓点資料=2点、漢字片仮名交じり文資料=1点、室町時代:漢文・訓点資料=0点、漢字片仮名交じり文資料=0点、第2部の南北朝:漢文・訓点資料=5点、漢字片仮名交じり文資料2点、室町時代:漢文・訓点資料=16点、漢字片仮名交じり文資料=1点、の存在を確認し、順次、原本での書誌情報(装丁、紙質、法量、成立、書写、加点者等)と言語情報(表記、語彙、語法、音便、加点内容等)の収集に努めている。続いて、第3部・第4部の当該年代成立、書写の文献リストの完成を目指すこととする。 さらに、『太平記』諸本の原本調査では、山形県米沢市の市立米沢図書館所蔵『太平記』(米沢善本)写本の閲覧調査を行った。その結果、おそらくこの41冊の書写者は4名と考えられること、漢字に付された訓点には、書写時期に加点された室町時代末期のものと、これとは別に江戸時代以降とみられるものの2種を認めることができ、それは墨の濃淡を観察すれば判別可能であることなどが判明した。今回訓点の悉皆的観察は巻第4までで終わったところであり、これ以降の訓点調査が必要であり、これも継続しなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた、資料所蔵の閲覧調査の許可が得られ、おおむね順調に進展していると言える。市立米沢図書館所蔵『太平記』は、分量が多く、書写状況が具体的に判明するに及び、若干今後の調査に時間を要すると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の3点を重点的に推進する予定である。 (1)高山寺所蔵の南北朝・室町時代書写文献の、第3部・第4部の目録作成。 (2)市立米沢図書館所蔵『太平記』の原本調査の継続、完了。 (3)『平家物語』諸本の比較を通してみた、和文語、漢文訓読語の研究
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Causes of Carryover |
山形県米沢市に所在する市立米沢図書館所蔵『太平記』の原本調査の日程調整がつかず、今年度予定していた2度目の調査を次年度送りにしたため。
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Research Products
(2 results)