2021 Fiscal Year Annual Research Report
Descriptive study of colloquialism in the early and middle of the Nambokucho and Muromachi periods
Project/Area Number |
18K00622
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
山本 真吾 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70210531)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 南北朝の日本語 / 室町初中期の日本語 / 太平記 / 文語語彙 / 訓点語 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本研究課題の最終年度に当たる。本来行う予定であった、近畿地方を中心とした寺院経蔵の南北朝及び室町時代初中期の日本語史研究資料の実地調査を行うことが、コロナ状況によって寺院当局の許可が得られず、実施ができなかった。実地調査ができなくても遂行可能な研究活動として、(1)この時代の口語性を測定する指標となる基礎データの入力作業、(2)寺院経蔵の目録から、南北朝及び室町時代初中期の文献資料を抽出し、資料一覧を作成すること、(3)データベース等を利用して得た知見を、外国でのオンライン発表をし、成果を公表することに意義を認め、実施した。 (1)は、平安時代後期、院政期訓点資料の語彙が検索できるデータベースを作成し、文語規範の輪郭を描くことができるようにした。また、日本語史に関する学術用語等が検索できるようなデータベースも作成した。ほぼ完成に近いところまで進めることができたが、訓点語の現場形が複雑な様相を呈していること、学術用語に異称があり相互参照する必要があることなどの問題を含み、なお点検作業が残されている。(2)は、高山寺経蔵の典籍文書目録から、当該の時代の文献を抽出し、目録を作成した。(3)は、訓点語と中世日本語について考究した成果の一部を、大韓民国の口訣学会(第60會口訣學會夏期全國學術大會、2021年8月11日)で発表した。 (1)~(3)は、当該年度に限ることなく補助事業全体に係る成果として継続して蓄積してきた。(1)は平安時代初期~後期までが前年度までの成果であり、(2)は前年度に経蔵第1部、第2部の目録を公にし、今年度はこれを承けて第3部の文献について完成させた。(3)は、東アジアの視野の下、本課題に係る諸問題について中国、韓国の学会で発表を行った。この他、当該の時代の言語資料として有用と目される市立米沢図書館蔵「太平記」写本の原本調査も実施した。
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Research Products
(3 results)