2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K00623
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 ゆかり 日本大学, 文理学部, 教授 (40305503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金水 敏 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70153260)
林 直樹 日本大学, 経済学部, 講師 (70707869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヴァーチャル方言 / 方言コンテンツ / 打ちことば / ポピュラーカルチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、次に示すような研究課題を遂行し、成果を公開した。【課題の遂行】(1)小説・演劇・映画・ドラマ・マンガ・広告等におけるヴァーチャル方言の実態調査と分析、(2)方言と共通語に関する大規模な言語意識調査の実施と分析、(3)携帯メイルコーパスの整備と、そこに現れるヴァーチャル方言の調査と分析。【成果公開】(1)については、代表者は「映像メディアにおける方言活用」半沢康・新井小枝子編『実践方言学講座』(くろしお出版)pp.95-116(2020年12月)、「方言とポップカルチャー」『日本語学』40(1)(明治書院)pp.70-82(2021年3月)、ならびにヴァーチャル方言に関連した連載(「方言たんけん隊」『安全衛生のひろば』4-12月)や、ヴァーチャル方言についての解説を新聞記事やラジオ・テレビ番組によって行い、広く一般にも成果公開を行った。研究分担者の金水敏は役割語研究からみたヴァーチャル方言研究成果として、「村上春樹と関西方言について」『村上春樹翻訳調査プロジェクト報告書(4)』(2021年3月)などを公開した。(2)については、研究分担者の林直樹と協働し、2021年1月に大規模な方言と共通語についての語意識web調査を企画・実施した。また、過年度実施の大規模Web調査データの分析報告を他の林・相澤正夫・前田忠彦とポスター発表を行った(「1万人を対象とした全国方言意識Web調査に基づく話者類型の抽出 ―「方言育ち共通語話者」の地域差・年代差を中心に―」2020年度日本語学会秋季大会(2020年10月25日)オンライン開催。(3)については、2021年度中のコーパスの一般公開を目指したブラッシュアップを行った。 一方、すでに採択されていた国際学会や、開催を予定していた国際シンポジウムは延期または再延期となり、この部分については2021年度以降に繰り越すことになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、概ね順調に推移している。 しかし、COVID-19感染症抑制の観点から、すでに採択されていた国際学会や、開催を予定していた国際シンポジウムは延期または再延期となった。国際学会については、2021年度に開催予定という連絡を受けているが、その後の連絡が滞っており、2021年度の開催も未確定である。また、2019年度にUCLAが開催予定であった国際シンポジウムは、事前のコールフォーペーパーへの反応もたいへん好調であったが、米国カリフォルニア州の状況がかんばしくなく、さらに延期をすることになった。当該シンポジウムは、本研究課題に関心をもつ多様な背景をもつ参加者が、対面で交流することを重視し、その後の研究交流の発展を意図しているため、対面実施が可能となるまで、延期することを決めている。 以上により、本研究課題において予定していた成果公開イベントのすべてが実行できたわけではないので、「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関連した論文等を踏まえた、著書の準備を進めている。現在校正段階に入っており、最終的な事実確認等も同時に進めている。支障が生じなければ、2021年度中に刊行の予定である。 過年度に実施した調査の分析・公開や、整備中携帯メイルコーパスについては、研究分担者や研究協力者らとオンライン等を通じて連携し、順次遂行する予定である。 一方、移動と対面を伴う学術イベントについては、開催が可能となるよう、状況の改善を心待ちにしながら、関係各位との連絡はオンラインにおいて密に取り合う予定である。 採択されている国際学会については、開催の有無やその形態等についての連絡を待ち、開催連絡があれば、何等かのかたちで参加できるよう準備を進める予定である。 本研究課題の遂行と同時にしめくくりの年度として、次の研究課題への接続などについても研究分担者や共同研究者らとオンライン会議などで相談を進めたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症抑制の観点から、すでに採択されていた2020年度開催予定の国際学会や、開催を予定していた2019年度末に開催を予定していた国際シンポジウムは延期または再延期となったため。学会・国際シンポジウムの旅費・参加費・講師等謝金・翻訳謝金をはじめとした開催関連費が使用できなくなったことが理由である 使用計画としては、国際学会やシンポなどの開催が実現すればその関連に、そうでない場合は、成果公開の一環として刊行予定の単著関連の追加調査費用や、事実確認等の作業の謝金に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)