2022 Fiscal Year Research-status Report
英語・日本語における数量詞作用域の決定に関わる統語的要因についての理論的研究
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18K00640
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本間 伸輔 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40242391)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数量詞 / 作用域 / 統語論 / 前提性 / 内項・外項 / 否定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生成統語論の観点から,英語と日本語における数量詞句(以下,QP)の作用域を決定する統語的要因のうち,①外項・内項QPの認可方法の違い,および②格素性のQP作用域決定への関与のしかたの解明を目指す。さらに,本研究代表者の過去の研究課題である③QPの内部構造,④作用域決定における主題/焦点素性の関与についての再検討を行うことを目的とするものである。 令和4年度においては,(1)前年度に出版した著書(Homma (2022))における分析の理論的観点からの再検討,および(2)日本語と英語の内項QPの作用域特性についての統一的説明の可能性を検討した。 (1) Homma (2022)はQPどうしの作用域,目的語QPと否定/副詞句QPの作用域についての日本語と英語の現象の説明を行なったが,(a)日本語の文構造において2種類の否定辞の位置を仮定したこと,および(b) 不可視移動としての焦点移動(焦点素性の移動)を仮定したこと,の2点が理論的に望ましくないという問題点があった。このため,本研究ではこれら(a), (b)を仮定しない,より説明力の高い分析を目指した。 (2) Homma (2022)においては,内項QPの「前提性」に関わる機能範疇句であるPresuppositional Phraseを仮定し,内項QPがこの位置へ移動することによって広い作用域が与えられるとの分析を行なった。令和4年度の本研究では,Bruening (2001)の提案する,vPの主要部vの「P素性」による内項QPの移動という分析法を検討し,両分析の統合の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度終盤から令和4年度における新型コロナ感染症の流行により,学会や研究会が中止もしくはオンライン開催となり,学会出席による情報収集が非常に限られた形でしかできなかった。また,勤務校における非対面式の授業の準備・実施のために相当な時間が必要となったこと,および令和4年度の委員会業務等により,本研究課題を含む研究活動のための時間を割くことが困難となった。以上の要因により,本研究の実施が滞ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べた事情により,本研究課題の研究の実施に遅れが生じたため,研究期間を計3年間延長した。この延長期間のうち今年度(令和5年度)においては,上記「研究実績の概要」で述べた課題(1), (2)の検討を継続し,本研究の課題である①,②,③,④の総括を行う。以上によって得られた成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な,学術的な情報の収集,および成果発表のために学会出張を予定していたが,新型コロナ感染症の流行により,出席予定であった学会がオンライン開催となり,出張のための経費が未使用として残ることになった。この経費は,令和5年度の研究において,文献の購入および学会出張のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)