2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00641
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中村 太一 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (00613275)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造構築 / 標示 / 等位構造 / 省略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、構造構築とは独立に統語構造に与えられ、言語機能とインターフェイスを形成する外部システムが統語構造を解釈するためにのみ必要であると考えられている「標示」の存在を、統語構造と外部システムとのインターフェイスの観点から追求・解明し、その理論的・経験的意義について詳細に検討することを目的とする。この目的を達成するために、昨年度から継続して、同一の内部構造と「標示」を持つと考えられる統語対象が、統語環境によって特異な音声・意味特徴を持つ場合を特定することを行った。まずは、昨年度までに等位構造に関して得られた結果を精査し、そこでみられる特異な音声・意味特徴は、当該統語構造が、特異な音声・意味特徴を持たない場合とは異なり、大部分非顕在的であるが豊かな内部構造を持つため生じていることを明らかにした。今年度は、さらに意味と形式(音声)のミスマッチに焦点を当て、統語構造が意味と音声のインターフェイスに異なる「標示」を与えられて送られる場合が存在するか調査を行った。その結果、日本語の「VNする」構文における「の」格の認可の点から、そのような「標示」のミスマッチが起こっている可能性が示唆された。これは、「標示」が両インターフェイスでの解釈を対応付ける役割を果たしていないことを意味し、「標示」付けのメカニズムの解明に繋がる可能性がある。また、これら研究には、省略現象が関係しているため、省略現象の研究にも貢献する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究が進んでいると言える。現在、研究発表等に向けてこれまでに得られた成果をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるが、まずは、今年度に得られた成果に基づき、削除操作の観点から、「標示」と外部システムとの関係について考察する。さらに、「標示」なしの統語構造の存在、そこから導かれる外部システムが「標示」以外の情報に基づき解釈を行っている可能性を考慮に入れ、「標示」の存在に批判的検討を加える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、研究協力者や共同研究者との研究打ち合わせができなくなった。また、今年に入り発刊された大型本を購入予定であったため。 新型コロナウイルスの動向を見ながら、昨年度中止した研究打ち合わせ行う。また、購入予定であった大型本を購入する。
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