2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on labeling and legibility at the interfaces
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18K00641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 太一 東北大学, 文学研究科, 准教授 (00613275)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 構造構築 / 標示 / インターフェイス / 省略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、統語構造と音および意味のインターフェイスの観点から「標示」の存在を追及・解明し、その理論的・経験的帰結について詳細に検討することを目的とする。この目的を達成するために、最終年度は、前年度までに得られた成果が、「標示」決定の仕組みやインターフェイスにおける「標示」のあり方に関して持つ理論的・経験的帰結を追求した。第一に、等位構造の下で例外的な統語・意味インターフェイス現象が観察されるが、この例外的現象は統語・音声インターフェイスにおける削除を仮定することにより、現行の「標示」のメカニズムに修正を加えずに説明できることを明らかにした。第二に、同一の「標示」を持つと考えられる統語対象が意味のインターフェイスにおいて異なる解釈を受ける場合について、動詞の項交替形を対象として交替形間での削除の可能性の観点から検討し、(i)交替形間で異なる構造を持ち、そのため異なる「標示」を持つ場合、(ii)一方の構造が他方の構造を含む形で同一の「標示」を共有する場合、そして(iii)交替形間で同一の構造を持ち、それゆえ同一の「標示」を持つ場合があることを明らかにした。第三に、これまで削除に統語上で課せられるとされてきた同一性を、インターフェイスにおける「標示」の同一性の観点から捉え直す可能性が示唆された。第四に、等位接続における等位項間に課せられる「標示」の同一性と削除における先行詞と削除部の「標示」の同一性は異なる条件であり、後者の方が前者よりも厳密な同一性に従うことが示唆された。第五に、状態変化動詞の中には他動詞形が自動詞形と同義に解釈される場合が存在し、そのような場合に他動詞形と自動詞形が同じ「標示」を与えられている可能性が示唆された。
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