2020 Fiscal Year Research-status Report
古英語における人称代名詞と指示代名詞の用法分析―theyの発達過程の解明に向けて
Project/Area Number |
18K00643
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小塚 良孝 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40513982)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三人称代名詞 / 指示代名詞 / 古英語 / ラテン語 / 行間注 / 有生性 / 方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、英語史における重要な問題である現代英語の三人称複数代名詞they(とその変化形their, them)の由来と発達のプロセスについて調査・考察することである。この問題については、長らく古ノルド語からの借入であるという説が定説となっている。また、その原因として、古英語期の人称代名詞が形態の曖昧化により機能不全になったこと、その結果、代替手段を持つ必要性があったことが指摘されてきた。また、その一方で、想定される原因は同じであるが、古英語の指示代名詞からの発達であるとの指摘もなされてきた。しかしながら、古英語期の人称代名詞、指示代名詞の使用状況に関する基礎研究が十分に行われていないため、上記のような指摘の裏付けは乏しい。そうした背景から、本研究では、古ノルド語との接触が本格化した後期古英語期に焦点を当て、主にラテン語文献の行間注、翻訳を用い、人称代名詞や指示代名詞の使用状況を詳細に調査し、th-形発達の要因や背景を考察している。 当該年度は、前年度までに行った口頭発表の内容を基に論文等にまとめる予定であったが、コロナ禍などによる勤務環境、生活環境の大きな変化により、予定通り進めることが出来なかった。そのため、計画を変更し、当該年度に行う予定であった研究活動を次年度に行うこととし、研究期間を延長した。 最終年度となる次年度は、まずは、これまでの研究結果を論文にまとめるとともに、研究の総括を行い、さらなる研究の進展に向けて課題を整理する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍などによる環境の大きな変化により、当該年度は十分に本研究を進めることが出来なかった。次年度も見通しが持てない部分もあるが、これまでの研究において、概ねデータの収集・分析は済んでおり、一定の見解を得ることが出来ているので、当初研究の目的は達成できそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
余裕があればもう少しデータ収集を行いたいが、すでに研究の目的が達成できる程度のデータは収集できていることと、コロナ禍の影響や現在の業務量を考慮して、次年度は分析・考察・まとめに注力することで本研究を着実に進めたい。
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Causes of Carryover |
予定していた研究が実施できなかったため。次年度使用額については、論文をまとめる際に必要になる文献の購入や英文校閲など、すでに予定していた用途に加え、昨年度視力の低下が著しく研究に支障が出ているため、モニターサイズの大きなノートパソコンの購入など、新たに研究環境を整備するためにも使用する予定である。
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